輝カシイ日常
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輝カシイ日常
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drama …
ここは煌びやかなの街、帝都東京。
街並みも人々も従来の日本とはどこか違う。
道は平らに整備され、街ゆく人々の殆どは洋装を身にまとっている。和装を身にまとっているのは女学生や洋装を購入出来てない人のみ。
一見変わった風景でも、日常の中に取り入れてしまえば誰もがここを“ただの街”だと思うようになる。
しかし、この少女は違った。
「〜♪」
いつもプリーツスカートを靡かせながらご機嫌で街灯の下を歩いているのだ。まるで毎日新しい発見をしているかのように。
そこで私は少女に尋ねてみた。
「貴女はどうしていつも楽しそうなの?」
少女はまたスカートを靡かせながら答えた。
「こうして街灯の下を歩いていると、スポットライトを浴びている気分になるのよ。まるで私だけの舞台みたいでしょ?」
クスクスと小さく笑みを零しながら答えた少女に私は呆気にとられた。
「そんなこと考えた事がなかった」
「なら今日からそう考えましょう!」
さぁ、と少女は手を差し出してきた。私は流れるようにその手を取った。
◇◇◇
手を引かれるまま鼻歌を歌う少女について行くと、いつもの街がどこか違う場所に思えた。
「こんなに綺麗な場所だったんだ」
そこら中で街灯が輝いている。いつもの風景だが、改めて見るととても新鮮な気持ちになれた。
「みんな生きるのに精一杯だから気づけない事よね」
彼女が少し寂しそうに呟いた。私はそんな彼女の横顔を眺めていた。
「私もその一人だったんだね」
気づけて良かった、と柔らかく笑みを零した。
「ごめんなさい、少し湿っぽくなっちゃったわね!こんな空気も吹き飛ぶくらいの楽しいダンスをしましょう!」
少しヒールのある靴をマンホールに響かせながら楽しそうに踊り出した。
「ここは私たちだけの特別なステージよ!」
マンホールの上で輝く街灯。それは本物のステージに見えるほど煌びやかなものだった。
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[cast]
プリーツスカートの少女 千律
平凡な少女 翠琴
#時代を超えし物語
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