寤寐思服
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寤寐思服
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drama …
ドカン、ドカン。
随分と聞き慣れてしまったこの音。
「今日も会いに来たぞ」
赤い街並みを見ながら呟いた。ここに来たのはこれで何回目だろうと場にそぐわない事を考えていると突然背中に衝撃が走った。
「何を考えてるんだ。他の事を考えているとやられるぞ」
気を引き締めろ、と部隊長が喝を入れてくれたようだ。
「ごめんなさい隊長!ありがとうございます」
それらしい言葉を返したが、おれは戦う為に…、我が国の為に此処へ来たんじゃない。愛する人に会う為この地に来たんだ。
彼女との出会いは、今から遡ること2年。おれが初めて国境を超えた日のことだ。
おれは勉学を学ぶ為、異国の地へ降り立った。所謂異国留学と言うものだ。初めての異国と言うのもあり、あたふたとしてしまっていた。そんな時、ある人が声をかけてくれた。
「大丈夫ですか?」
この土地では聞くことは無いと思っていた流暢な日本語。驚きと嬉しさに言葉を失った。固まっていたおれに見兼ねて彼女はもう一言「何か困っているのですか?」と訊ねてきた。そこでお
は我に返った。
「ここに行きたいんだけど…」
手元にある地図で場所を示しながら彼女に聞いた。彼女は気さくにも「この辺りの作りは複雑ですよね」とエクボを作りながら場所を教えてくれた。
おれはそんな彼女に恋をした。
だからこそおれは再びこの地に来た。今度こそ彼女に交際を申し込むんだ。
こんな形で会いに来るだなんて、と咎められても何回だって会いに行く。この気持ちが彼女に届くまで。
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[cast]
兵隊 月永レオ(cv.白瀬まろ)
#時代を超えし物語
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