琥珀色の幸せ ミルクハニー
Junky feat.鏡音リン
琥珀色の幸せ ミルクハニー
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「よっこらしょ!!…ふー、疲れたぁ」
彼女が森から出てくるのを待ちわびる人は多い。取引先への納品は粗方終わったのだろう。かなり質素な小屋を開け簡単に掃除を終えたら、休む間もなく蛇口付きの大きな樽を何個も外付けカウンターに並べる。この重さたるや…恐らく彼女の人種がなせる技だろう。他人種なら女性ではなかなか難しい。これだけの大仕事をたった一人で顔色変えずに淡々とこなしていく。彼女の様子を外からまだかまだかと覗くキリエの人々。その中には甘党のあの人の姿もある。
「んー?ごめんねぇ、看板出すまで販売しないから。それはお約束だからねぇ」
小柄な彼女の笑顔にみんなウットリ。彼女の商品を目当てにする客の中には、彼女自身を目的に現れるものも少なくない。
お金の準備、商品説明の看板、飾り付け…もう質素な小屋は立派なお店に早変わり。最後に『ミルクハニーの蜂蜜店』と書かれた大きな木の立て看板を置くと、待ちきれない客はわっと店の前に詰め寄った。
「あー!ダメダメぇ!並ばないと売ってあげないよ?大丈夫、今日は春から溜め込んだ自慢の蜂蜜沢山持ってきたからね!」
百花蜂蜜から種類別にされた蜂蜜、キリエの街で集めた蜂蜜、世界樹の森の蜂蜜等など、事細かな植物やエリアで分けられた蜂蜜を始め、世界樹の樹液、森で取れた木の実のジャム、糖分が結晶化し岩となった密岩から染み出た湧き水…蜂蜜以外の商品も網羅している。ありとあらゆる自然の甘味が小屋を埋めつくしている姿は圧巻である。客はカウンターに備え付けられた様々な種類の中から欲しい蜜の入った樽の蛇口を捻って瓶に詰め込む。甘い物の前ではどんな年齢も、どんな性別も、どんな人種も顔が綻びニマニマとしている。
「ハイハイ、瓶の重さは…だいたい500gだね、あとジャムと…お代はこれくらい。はぁい、毎度ありがと♪」
ニマニマ顔の中に一人あくせくと計りの前で忙しない店主。やっと客足も落ち着いた時、ガシャガシャと音を立てて沢山の瓶を並べた客が現れた。
「毎度ありがと!…でもニフさん…いっつもいっつもこんなに甘い物、その体のどこに入るの?ホントは半神じゃなくて、あたしと同じクマなんじゃない?」
茶色の毛に包まれた丸い耳、白の貝殻イヤリングが耳と一緒にユラユラ揺れる。
「えへへへ…だって、ミルクハニーさん…何時お店開くか分からないんですもん!!お料理の隠し味、お茶の一時、自分のご褒美!…これでも少ないくらいですよ!」
ふん!と鼻息荒く熱弁するニフ。少し呆れ顔で笑うミルクハニー。
「おっと、今日はお買い物だけではないんです。ミルクハニーさんにお願いをしに来ました!」
そういうと、鞄からゴソゴソと万年筆と羊皮紙を手渡してきた。
「なかなか会えなかったから、まだミルクハニーさん未提出なんですよ。記入お願いしてもいいですか?」
理事会が住民を把握する為の住民帳だ。ミルクハニーは、はぁいと答えて、サラサラと書き出した。
「ありがとうございます!えーっと…うんうん…はい、記入漏れは無いですね!
ミルクハニーさん、女性、熊の獣人。職業は養蜂。
憑神は…アリスタイオス。大地と回復の魔法が使えます」
「ありがと、森と蜂のお世話があるから、書類を直接渡せるのって助かるぅ!これ、オマケだよ」
あらゆる蜜を買い占め、酷く重くなった荷物を必死に抱えて帰るニフ。口には我慢できなかったのか、オマケに貰ったメープルナッツクッキーが咥えられていた。
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ミルクハニー 女
熊の獣人
アリスタイオスのカミツキ
データを保管致しました。ようこそ!キリエの商店街へ…
職業が決まりましたので、全てのコミュを解放致します。
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