_3.ハッピービーンズデー(story03)_
【Corrupted hymn :Ⅱ -Recurrence-】
_3.ハッピービーンズデー(story03)_
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🎭「相手がアコロくんでも手加減しないでくださいね」
🎓「相手が誰でも手加減なんてしないさ。」
🎭「へぇ、いがーい。」
🎓「手加減って、頑張る相手への侮辱であって優しさじゃないからな」
🎭「じゃあ……オレも先輩に倣いますよ。
めいっぱい"優しく"しなきゃ」
🍽「準備はいいですか?」
🎨「はい、先輩。いつでも」
🍽「__では、行きますよ」
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▶︎𝐒𝐓𝐎𝐑𝐘
3.ハッピービーンズデー
(3/4)
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【農民チームA VS 怪物チームA】
前衛ではすでに戦いが繰り広げられていた。
🚫「ライネットスは俺に任せてください…!」
🏝「う……流石に、怪物チーム、動きが、早い……!
……イルジーたち、歌、早く……!」
👁🗨「ストラたちがどんな歌を歌うかわからない。早めに仕留めたいところだ」
🐯「そんな生ぬるい動きで捉えられると思ってんのか?…おっと」
足の速いウィアとデアは森の中を動き回りグラッドとヒイエの攻撃を避け続ける。そして少しずつ距離を詰め、デアはとうとうヒイエに手が届く距離へと辿り着いた。
間髪入れずにヒイエがビーンズシューターから豆を発射するも、予期していたようにデアは体を捻ってかわす。その反動でヒイエを捕まえようとするが、今度はヒイエが僅かに身をひいてその腕から逃れた。空を切った手をひらひらさせながらも、デアは獲物は逃さないとばかりに両目でヒイエを捉え続けながら目を細める。
👁🗨「この至近距離で当たらないとは、さすがは虎の子だ」
🐯「……お前も目がいいな」
一方。グラッドを追い詰めようとしていたウィアは、徐々に息が上がってしまいつつも、木の影に体を隠しながら懸命に撹乱していた。
しかしグラッドが冷静に距離をとりつつ後退し、なかなか距離が詰まらない。
🚫「……さすがは獣人か。俺の方が動きが速いのに……捉えきれない」
🏝「う〜…追いかけっこはいいけど…追いかけっこしながら、豆を打つの、難すぎて……当たらんよ……!」
両者拮抗。
そんな空気を破るかのように、
イルジーとエイダン、アコロとストラが息を吸うのはほぼ同時だった。
🕊 CH4NGE / Giga
↪︎ https://nana-music.com/sounds/064ee18c
⚔ TOUBOU / DUSTCELL
↪︎ https://nana-music.com/sounds/064ee2ad
ーーー
農民チームの後衛であるエイダンとイルジーのバフ。それは自陣には向かわず、エイダンの歌の矛先はデアに、イルジーの歌の矛先はウィアへと向かった。
彼らの歌の効果は、自陣に対するものではなかった。敵陣の相手へ、全能感と混乱を与え、体を動かしにくくしてしまう力の乗った歌…デバフである。
非常に精度の高い歌声は、速度補助のブーツをつけていたデアとウィアにも届いた。
🐯「…!!これは……歌の効果か…!」
🚫「ぐッ……これ、あいつの声……!!
体が、動かしにくい……けど……俺たちなら……いや。敵に…ヒイエ寮長が…いるのに…できる、か……?」
🐯「……まずいな」
混乱の症状が出始めたウィアを片目に、己の理性で気持ちをとどめていたデアは戦況を見渡す。普段よりも体は重たいが、速度補助ブーツのおかげか足は普段と変わらず動く。
🎭「あは、計画通り。気持ちいい〜!行きましょう先輩」
🎓「ああ。……行くぞ!」
エイダンとイルジーは歌の効果をデアとウィアに向けつつも、別の場所へ駆け出す。その手には、豆が握られていた。
🐯「後衛、と見せかけて……自分たちも戦う作戦ってわけか…!」
エイダンとイルジーは、デアとウィアを前衛に任せ、裏のストラとアコロを狙っていた。
それに気付いたデアだったが、今他に気を向けたら意識が持って行かれてしまうようだった。
🐯(まずい。このままじゃ、ヒイエの攻撃をかわしきれない……が、こいつなら、アイツの歌に耳を貸さないわけがない)
デアが意識をヒイエに向けると、ヒイエもまた攻撃の手を止めていた。
背後から聞こえてきた、味方の歌声が彼を捉えたようだ。
👁🗨「…ああ。素晴らしい……!聞く者にこのような感情を植え付けるなんて…流石はストラだ。君の声は、こんな色にもなるのか……ふふ。もっと見せてくれるんだろう……?」
閉じられたままのヒイエの視線は、少し先で身を潜めたアコロとストラの位置を捉えていた。デバフの効果が残っており、一瞬虚をつかれたデアの脇を通過し、彼らの元へと走りだすヒイエ。
怪物チームの後衛であるアコロとストラが歌った曲もまた、敵陣へと効果を放つもの。そして、その効果は……敵陣の相手へ、恐怖という感情を与える、精神へ強い作用をもたらすものであった。
2人の歌は前衛にいるヒイエとグラッドにも届いたが、その効果は薄い。本来の効果の矛先は、その背後に居たエイダンとイルジーへと向けられていた。
🎭「……?なにこれ。……なに。近づけないんだけど……俺たちに、デバフの効果……!?ッ……これ、……反則、じゃ」
🎓「イルジー!……っぐ……足が、竦んで……!」
自らの足で近くまで寄っていたエイダンとイルジーは歌の効果の直撃を受けてしまう。イルジーは膝をつき、エイダンは木に寄りかかりながらふらつく。2人の前に現れたストラとアコロの表情には日頃の柔和さが見えず、かけられた魔法の効力が薄まることもない。
🍽「……身動きできないでしょう?逃げたいでしょう?……どうぞ。できるならですけど」
🎨「まさか、俺がエイダン寮長を狙うと思わなかったでしょ。よく立っていられますね?さすがは寮長だなぁ……」
🎓(…!逆に、"全能感"で強気になってしまったのか……?前衛のミスを招く作戦だったが、後衛にまで影響が出たか…)
思わず完全に動けなくなってしまったイルジーの肩にストラが手をかける。
🍽「はい。イルジー、捕まえましたよ。アコロ君、エイダン先輩のことも、早く……」
🎨「ストラ先輩!!」
エイダンを捕縛しようとしていたアコロが動きを止めて大声を上げる。ストラが顔を上げると、前線で戦っていたはずのヒイエが向かってきていた。
🍽「…ッ!?」
日中は閉じられた瞼が開かれ、真っ赤な瞳がストラを捉える。胸の奥まで見透かされるような視線を向けられたストラは思わず一瞬固まり、そして…
🍽「こないでください、ヒイエ様……!」
思わず魔法を放った。
🎨「……!っちょ、ちょっと、ストラ先輩!魔法を使うのは…!」
🍽「……あっ。」
途端に、フィールドに学園長の声が響く。
(🕰ピンポンパンポーン。スーニスト君。ロードオーゲン君。反則により、2人とも失格です!)
🎨「え?ヒイエサマも…?」
アコロが改めて振り返ると、ヒイエの手には何やら黒い球体が。
👁🗨「おや……ストラの魔力を感じて、つい昂ってしまったようだな。無意識に魔法を練り上げてしまっていたよ……」
🍽「…………」
真っ青に青ざめて固まってしまったストラと楽しげなヒイエは、同じく青ざめてへたり込んだままのイルジーを連れて退場して行った。
🎨「……ディ、ディアソムニアって……魔法石がなくてもあんな魔法使えるの……?
こ、こわぁ……」
🎓「そうだな」
🎨「へ!?」
気を取られていたアコロのすぐ後ろから声がし、肩に何かが当たる感覚がした。見ると、足元には豆が転がっている。
🎓「あと少しだったのにな、アコロ。詰めが甘いぞ?」
背後には、顔色が悪いままのエイダンが立っていた。
🎨「あれ……あんなに効いていたのに、どうしてもう動けるの!?」
🎓「そりゃあ。目の前でストラたちが、面白おかしいことをやらかしてくれたから、動ける程度に回復したんだよ。お前たちの歌、すごかったからな。まだ効果が残ってる」
🎨「……え〜ん、褒めてもらえたのは嬉しいけど…
あとちょっとで勝てたのにー!」
🎓「はっはっは。……本当に、あとちょっとだったよ……参った。戻ったら反省会だな…。
……さて」
ーーー
🏝「あ…っ。豆が、もう……」
一方で、木の影で体力を回復させようとしていたウィアの耳に、グラッドの焦った声が届く。戦況をなるべく把握しようとしても、かけられた魔法のせいで思考がまとまらない。
🚫(──今ならやれる。やるなら今しかない)
そうして重たい体をあげて木から飛び出すウィア。グラッドは草むらでしゃがみ込んでいた。
🚫「!もらった…!」
🐯「騙されるなウィア!罠だ!」
🚫「ッ…」
かけられたデアの声に反応するよりも早く、グラッドの服の下に隠されていたビーンズシューターが至近距離で発射された。豆はウィアの反射神経よりも早く、体に当たってしまう。
🏝「はい、ウィア、アウト。……判断力の低下って、怖い魔法だよね。体、大丈夫?」
🚫「……別に。お前たちの方が上手だったってだけだ。俺のことは、気にしなくていい」
🏝「無理しないで。俺、治療の魔法、得意……」
🚫「い、良いって。大丈夫だから…」
ウィアの顔色を心配するグラッドに押されつつもウィアが踵を返すと、同じく退場をしようとしていたアコロがこちらを見ていた。
🎨「ねえグラッド。その作戦の入れ知恵って、もしかして」
🏝「これ……イルジーが考えた作戦…」
🚫「〜〜!!!」
🐯「ほら、落ち着けウィア。お前はもうアウトになったろ」
🚫「あ、…で、デア先輩。すみません……」
いつの間にか近くにいたデアは、グラッドとウィアの背後から肩に腕を回した。
🐯「グラッド確保。作戦は成功した時ほど、気を抜くんじゃねぇぞ?」
🏝「捕まっちゃった……残念.…まあ、豆もあれで最後だったから、なんもできなかったし……じゃあウィア、一緒に行こうよ」
🎨「俺も俺も!一緒にいこ!」
🚫「あ〜もう……同じ方向なら、好きにすれば良いだろ……!」
ーーー
🐯「はぁ……おい」
デアはゆっくりと振り返る。
顔色がいまだに優れないエイダンが、ビーンズシューターを構えてこちらをみていた。
🐯「どうして撃たない」
🎓「気づいてたんだろ?避けられるってわかってるのに撃つかよ、豆を無駄にしたくない。
残るは俺たちだけ、……だったが……」
周りが大騒ぎしたおかげで、一般生徒たちが集まってきていた。
「ムファルメ先輩!大丈夫ですか!やっちまいましょう!」
「レグナー寮長!俺、予備の豆持ってます!」
🎓「ここが正念場、か」
🐯「後衛の予定だったお前が残ったか。……勝ちを譲る気はないぜ?エイダン」
🎓「フッ……臨むところさ!行くぞ、デア!」
……つづく。
Next story... 『3.ハッピービーンズデー(story04)』
⏩ coming soon...
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🕊⚔𝙏𝙝𝙖𝙣𝙠 𝙮𝙤𝙪 !! 🌱
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