_3.ハッピービーンズデー(story01)_
【Corrupted hymn :Ⅱ -Recurrence-】
_3.ハッピービーンズデー(story01)_
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「魔法が使えないスポーツ大会、ですか?」
「そうです。
その中で唯一!!
君たち合唱祭メンバーだけが、歌に魔力を乗せることができるのです」
──いつもの合唱祭メンバーの控室。
疑問の顔を浮かべていた生徒たちに、学園長が
今年の特別な『ハッピービーンズデー』のルールを説明し始めた。
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▶︎𝐒𝐓𝐎𝐑𝐘
3.ハッピービーンズデー
(1/4)
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🍽「あの……でもいいんですか?確か、ハッピービーンズデーは本来魔法を使用していたのを、割と最近になって魔法を禁じたんですよね」
不思議そうに首を傾げたストラの横で、ビオナがチッチッチと指を振る。
🐕「甘いよスーニスト。
『実際に魔法をかけているわけでなく、あくまで聞いた人への歌としての効果の範疇ですから。魔法を行使しているのとはそもそも結果が異なるので問題ありません。実際にバフをかけられたらわかりますよ』
……だよ!」
🍽「学園長のマネですか?に、似てますね…?」
2人が話していると、すぐ近くにいた二年生たちが集まってくる。
💭「そうか?あんまり似てないぞ」
🐾「ハハッ、下手くそ〜。わんわんより絶対に俺の方が学園長のモノマネうまいよ」
🐕「え!!!やって見せてよ!!!」
🐾「や〜〜〜だね」
🍬「よく覚えているね。それ、この前の公演の時に言っていたことじゃない」
サディクが本気で、ディンクが揶揄うようにビオナにダメ出しをする後ろから、前回ビオナと同じグループだったレイジが顔を出した。
その話を後方で聞いていたラディアは、ふむと言いながら視線を落とす。
🔍「……」
🫖「あれ?ラディア君ぼーっとしてる?へへっイタズラのチャーンス……」
🔍「魔法の効果と歌としての魔法効果の違い…今までの説明などは曖昧ではあったが効力としての規模を考えると…ブツブツ」
🫖「あっだめだ。全然ぼーっとしてないや」
🕰「オホン!」
二年生たちがワイワイと話し始めると、いつの間にかノアの横に移動していた学園長が大きな咳払いをした。
🕰「バーク君の言った通りです。まあ私のセリフなんですけどね。
さて、話をもとに戻しますよ!」
🕰「皆さんも知っての通り。ハッピービーンズデーは農民チームと怪物チームに分かれ、怪物チームが守る竪琴を農民チームが奪うというスポーツ大会です。
己の肉体。頭脳。そして支給されるアイテム。これらを駆使し、チームを勝利に導く……これが去年までのルールでした。今年も大きな変更はありません。
しかし!!そこに、今年度は特別ルールが加わります。
ズバリ、『合唱祭メンバーによるバフ掛けを、1度ずつのみ許可する』という内容です!」
🎓「なるほどな。しかし、前回の公演で学んだが、歌というのは1人で歌うよりも複数人で結束した方が、高い魔力を練り上げられるんじゃないか?」
🐯「ああ。気ままに思い通りに、とはいかねえが……チーム戦で効果を発揮するなら、むやみやたらに個人でやるよりか、まとまって力を出す方が賢いと思うぜ」
昨年度まで2度体育祭を経験している三年生たちの中でも、寮長であるエイダンとデアは、すぐさま実践を想定して意見を交わし始めた。
🎐「去年のハッピービーンズデー、あんまり思い出せないなあ。でも、歌ってみんなの力になれるっていいよね。体力では貢献できないけど、歌に魔力を乗せるなら力になれるかも」
🐠「ああ、力にばかり頼るのは美しくないと思っていたんだ。ふふ。高い魔力を誇る美しい僕たちが、皆を歌で鼓舞できるなんて……まるでお伽噺のワンシーンじゃないか」
エルスとアレータが嬉しそうに肯定する横で、ヒイエはゆったりと閉じたままの目を学園長に向ける。
👁🗨「ところで、だが。魔法の素質を抜きにしたところで……体育祭、という名目でも、活躍が期待されるメンバーがこの中には多いと思うのだが。学園長、何か手を打ってあるのかな?」
🕰「ええ。皆さんのおっしゃる通りです。ここにいる合唱祭メンバー全員がバフ側に回ってしまうと、いくら歌の効力をかけられるとはいえ、正直勝敗の決め手に欠けてしまうんですよねぇ。
なので、皆さんにはバフ側と実技側に分かれていただきます。これについてはアンケートを実施しますので、誰がバフを掛ける側になり、誰が動くのかをチームごとに考えておいてくださいね。
ちなみに、バフをかけられる対象は、実技側の合唱祭メンバーに対してのみ、とします。何せ寮長・副寮長クラスが集まっていますから、威力が最も増すことでしょう。さらに、あなた方だけが、フィールドで歌を歌うのですから、大会当日は他の生徒たちからもわかりやすい標的となる…ということですね」
学園長があらかた説明を終えると、待ちきれないとばかりにアルカが表情を輝かせつつレイジに語りかけた。
💊「なるほどなあ。俺はぜひ、体を動かしたいよ。皆の歌声で自分の力が増幅するなんて、最高じゃないか。いくらでも標的になって構わないよ、俺をめがけてきてくれるなら全員抱きしめて回りたいね」
🍬「アルカ。気持ちはわかるけど、まだ誰が敵で味方かわからないうちに、そういうことはいうものじゃないよ…あと、抱きしめるって…どちらのチームになるか解らないだろう?」
💊「ふふ。我が寮長は慎重だね。そして、そんな我らが麗しの君とは敵同士……ああ、今からワクワクが止まらない……」
🍬「そんなにやる気になってもらえるなら、寮長冥利に尽きるね。手は抜かないから安心するといい」
🐾「うわぁ。レイジもアルカ先輩やる気すっご……俺はできれば動きたくないなぁ」
🐕「あ!ディンク、サボるつもりでしょ!ダメだからね!」
🐾「そんな(大っぴらにサボるって言う)わけ無いじゃ〜ん」
🐯「お前らなあ。……ま、去年と違ってバフをかける側に回る可能性もあるからな。ディンク、ビオナ。ある程度イメージトレーニングはしとけ。ビオナは俺とは敵だろうが……どちらにせよ、サバナクロー寮生として無様な姿は晒すんじゃねぇぞ。分かってんな?」
🐕「はい!!!」
🐾「はぁい。わかってまぁ〜〜す」
🎐「……ってことは。ラディアともグループが分かれちゃうってこと…?」
🔍「去年も別れてたんだけど……寮長、体力は本当にないですから、去年の結果は……ううん……まあ、それは思い出さなくていいかな」
🎐「そっかあ…そうだよね。でも今年はもう少し頑張れたらいいな……ラディアにかっこいいところも見せたいし!ラディアのかっこいいところも見られるのが、とっても楽しみだよ!」
🔍「ふふ…楽しみですね。僕も、覚えておいてもらえるくらいに、良いところが見せられるように頑張りますから」
🕰「さて。大体の説明は終わりましたね。
より詳細な情報は、チーム分けを発表した後にお伝えいたします。そのほうが戦略を立てやすいでしょうからね。
それでは本日は、解散!」
学園長が号令をかければ、控えめだった話し声は途端に大きくなり、部屋全体がざわつき始める。
今までと異なるハッピービーンズデーに、経験者である二年生や三年生があれやこれやと話に花を咲かせていた。
そんな部屋の一角で、今年初めてハッピービーンズデーを体験する一年生たちも盛り上がっていた。
🎭「ハッピービーンズデーの前日って、ご飯が豪華になるんでしょ?楽しみぃ」
🎨「誰から聞いたの?」
🎭「ストラ先輩とヒイエさんが喋ってたの聞いちゃった」
🏝「あ。それ、ノア先輩も言ってた……去年、美味しいお刺身たくさん食べたって……お腹すいてきたな……」
🎨「グラッドってば、ご飯はもうちょっと先だよぉ。ねえねえ、ところでチーム分けどうなるのかなぁ。ドキドキするね」
🏝「先輩たちのすごいところ、近くで見れるの、毎回楽しみなんよね……」
🎭「普段魔法じゃ敵わないけど、俺たちが先輩たちを倒しちゃうかもしれないなんて……すっごく楽しそうだよねえ」
イルジー、アコロ、グラッドの3人が楽しそうに雑談をし始める一方で、同じく一年生であるサリとウィアは難しそうな顔をしていた。
☂️「今までの傾向から、今年も同じ寮内で寮長と副寮長は分かれそうだな」
🚫「パワーバランスが崩れるだろうからな。しかし…どうだろう。最近は魔法は使えないはずなのに、単純に寮長と副寮長を分けるだけじゃ、どちらが有利か決まってしまいそうだな」
☂️「うーん。お互いの手のうちが読みやすい、って意味で分けているんじゃないか?ハンデ的な意味で」
💭「確かに。サリならどう動くかは、大体手に取るようにわかるな」
☂️「わっ!サディク寮長!いきなり現れないでください……運動神経もいいし、厄介だなこのひと……」
💭「褒めてるのか?存分に対策してきていいぞ。俺もするからな」
☂️「ぐぬぬ……」
サリとサディクが寮へと戻っていくのを見送るウィアに、ストラとヒイエが声をかけにきた。
🚫「あ、先輩。……あの。去年のデータとかって、どこかで見られるんですか?予習をしないと少し不安で…」
🍽「ウィアは真面目ですねぇ…はい、確かあったと思いますよ。寮に戻ったらみましょうか。ほらイルジーも、行きますよ」
🎭「はぁい。ねえねえヒイエさん、魔法使えないとヒイエさんってどれくらい強いのぉ?」
🚫「オイ。失礼だろ、その言い方」
🎭「気になるんだから仕方ないじゃん」
👁🗨「ふむ。……確かめてみるか?と言いたいところだが。同じグループになるかわからないからな。特に…ストラは確実に敵だろうから、手の内を教えるわけにはいかないな」
🍽「ひ、ひえ……」
🎭「え〜〜ヒイエさんガチじゃん。俄然やる気出てきちゃった!」
🏝「あ……ノア先輩……俺も気になる。アレータ寮長って、運動、できるんですかね……」
🫖「あー。あの人は……いや……うーん。正直、俺もわからないんだよね。学年が違うから体力育成の授業は被らないし、あの人ほぼホールに出ないし、雑用も全部俺たちが担当してるし……むむ……」
🏝「ほえ……確かに……未知数やな……」
🐠「おや。どうしたんだい?ノア、グラッド」
🫖「なんでもありませーん」
🐠「僕の美しさの秘訣かい?」
🫖「違いますー!」
🏝「……ほんま、気になるなぁ……」
🎨「ねえねえエイダン寮長。寮長と俺、敵同士になっちゃうんですか?」
🎓「うーん。恐らくだが、そうなるだろうな」
🎨「そっかぁ。不安だなぁ……」
🎓「あんまり落ち込むな。俺が敵だろうと味方だろうと、お前はお前のできることをすればいい。お前はそんなにヤワじゃ無いって知ってるんだぞ?」
🎨「頑張りますけどー。でも心細いですよ〜…」
🎓「ははは。がんばろうな、アコロ!」
イルジーが会話から抜けると、残っていたグラッドとアコロの元にも同じ寮のメンバーが迎えに来て寮へと戻っていく。
人のいなくなった控室。最後に残っていた学園長は、満足そうに彼らの背を見送ると胸元から砂時計を取り出した。
🕰「彼らの成長は著しいですねぇ。今回のハッピービーンズデーでも、きっと素晴らしい歌を披露してくれることでしょう。
楽しみですね……おっと!こうしちゃいられません。大会の準備をしなくては……ああ、忙しい忙しい!」
……つづく。
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⏩ coming soon...
※サウンド投稿予定時刻 21:30〜22:15
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