【二人声劇】蝉時雨にさようなら【台本】

「ゆえ」×『わんさん』

#声劇 #台本 #2人声劇 #掛け合い #mitagraph #わんさんとゆえ 【蝉の音が聞こえ始めたら】 「蝉時雨、すごいですね」 『そんな風流な言葉知ってたとはな、驚きだ』 「これでも先生のお手伝いですよ？ 勉強は怠ってません」 『なら、お手伝い、麦茶』 「それなら先生の近くに置いてあります」 『じゃ、煙草』 「禁煙宣言はどこにいったんですか？」 『じゃ、キス』 「ふふ、子供みたい」 立ち上がったわたしはとがらせた唇に唇を重ねて 触れるだけのキスをする ピースの甘いバニラの香りがした 『…これは、お別れの挨拶だ いつまでもこんな男に構っていないで 恋人のところへ帰れ』 「ふふ、そう言ってまた3日後には 煙草買ってこいって連絡するんでしょう？ 出来もしない口約束はするもんじゃな…」 もう一度、言葉を遮ってキスされた 『お前の幸せを、願ってる』 透き通った瞳の奥に諦めが見えて ああ、本当に関係の終りがきたのだと悟った 『幸せで、いてくれ』 蝉時雨だけがいつまでも、いつまでも 網戸の隙間から鳴り響いてやまなかった