唯一、愛ノ詠
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
✒️茶川 右響(CV桐生りな)
https://nana-music.com/users/6037062
📕南方 清美(CVヒイロ)
https://nana-music.com/users/9203821
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
📕ホラ風にゆらゆらなびくその髪が
時を奪い尽くそう
✒️ホラこの瞳は貴方に仕える僕
導いておくれ
📕此処ヘ✒️此処ヘ
📕✒️此処ヘおいでよ
📕✒️今宵月の下心の音赤く深く
📕貴方を求め
📕✒️いざ迷い振り払い永久此の身に刻み
✒️奏でるのは唯一、愛ノ詠
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
「ええ? 彼方くんと廿楽くんが行方不明?」
予想だにしなかった情報に、清美は思わず声を上げた。右響は即座に清美の口元を抑えると、深くため息をつく。
「あまり大声を出すな。……私は今疑われているんだからな。下手なことは出来ん」
「せやかて、今にも探しに行きたそうな顔してるやないの」
清美が説得しようとするも、右響は黙って首を振るだけだった。
「まさか。私は自分の身を案じているだけだ。……それに、私に見つけられた所で、彼方も嬉しくないだろう。あいつは、私のような流れ者の作家からは離れた方が幸せだ」
俯く右響は、どこかこうなってしまったことを後悔しているように見えた。清美には詳しい事情は分からなかったが、この二人ならば、喧嘩したという経緯も、きっと互いを思いあっての事だろう。不器用な二人は、思うあまりすれ違ってしまっているのだ。清美は呆れ笑いを浮かべ、そっと右響の肩を叩いた。
「それは、出会って直接言うた方がええんとちゃいます?」
笑顔のままその場から動こうとしない清美を見て、右響も素直にならざるを得ないと感じたようだった。少しばかり眉をあげると、「仕方ない」と頷いた。
乗客用の車両を全て探し終わり、乗務員用の車両へやって来た二人は、そこで見知らぬ扉を開けようとしているコックの茂と遭遇した。
「お前は、料理人だったか?」
「嫌だなぁ、作家先生。西洋風にコックと呼んでくれよ」
茂はそう言うと、ぐるりと鍵を回し、扉を開けようとした。しかし、扉は固くはまっているようで、茂が何度押そうとビクともしなかった。
「あれ? おっかしいな。この冷暗室は最新のものでね、ちょっと押せばすぐに開くはずなんだが……」
首を捻りながらも扉を推し続ける茂を見て、右響は何やら胸騒ぎがするような心地に襲われた。考える間もなく茂に加勢し、扉にもたれるようにして力を入れる。流石に男二人分の力では耐えきれなかったのか、扉は大きな音を立てて内側に開いた。
右響は、茂よりも先に部屋の中に飛び込むと、ひんやりとした空気が漂う暗闇を見渡した。そして……。
「彼方……!」
「師匠!」
こちらを見つめ、パッと笑顔を浮かべた彼方。廿楽との約束を思い出し、謝ろうと口を開きかけたが、それは直ぐに遮られた。
「お前が、無事で良かった」
普段ならば、右響が人前で彼方を抱きしめる事など有り得ないだろう。だが、この時は別だった。大きな腕で包み込まれた彼方は、あっという間に目に涙をためて、ボロボロと泣き出した。
「師匠……師匠ぉ!オレ、このまま死んじゃったらどうしようって、師匠……!」
右響は頷きながらも、決してその手を話さなかった。わんわん泣きながら右響にしがみつく彼方を見て、隣にいた廿楽は思わず微笑んでしまった。背後から縄を解く手が、その顔を見ているとも知らずに。
「廿楽くんも泣いてええんやで」
「は! いつの間に!? ……嫌だね。悲しくなんてないし」
「もぅ、可愛ないなぁ」
清美は面白くなさそうに口を尖らせると、手早く廿楽の足の縄を解いた。四人は互いの無事を確認すると、冷暗室の前で待ってくれていた茂の方へと向かった。
「もう大丈夫なのか?」
「ええ、危機一髪ってところやな」
「あと数時間発見が遅れていたら……本当に良かった」
胸を撫で下ろす右響にくっついて歩きながら、彼方は重大な事を思い出して小さく声をあげた。
「そう言えば、オレたちを閉じ込めた人……」
「君たち、ここにいたんだね!」
彼方の声は、突如聞こえてきた声に遮られた。声のした方に視線を向けると、そこには息を切らせた戒矢と花衣の姿があった。
「どうしたの、二人とも」
おっとりと首を傾げる清美に向かって、二人は事の重大さを伝えるべく、大声で捲し立てた。
「大変なんだ。今すぐ僕達について来て欲しい」
「四人目の、被害者が出たんです」
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
絵:ちゅん
伴奏:SZK‐37Z 様
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
寝台特急連続殺人事件編・第二夜
https://nana-music.com/playlists/3714322
#紅華探偵團
#唯一愛ノ詠 #梅とら #szk #szkステレオ
Comment
No Comments Yet.