【声劇】題:虚と今【台本】
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【声劇】題:虚と今【台本】
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No.24
台詞
考えれば考えるほど、何も手につかなくなる。
誰よりも上手く、誰よりも得意に、誰よりも輝きたかった。
もっと上手くできた。
もっと上手くできる気がした。
誰よりも自分は優れている。
なんて夢物語を描いていた。
それがどうだ。
大人になって、何度も何度もそんな夢物語は惨めにぐちゃぐちゃに踏み潰された。
心も体も限界になって、泣いて喚いて暴れて沈黙した。
空虚だ。
世界はどこまでも無慈悲に残酷に容赦なく現実を突きつけてくる。
死にたいと何度思ったことか、生きる意味を何度考えたことか。
何度も何度も何度も何度も何度も。
死んだ魚のような目で世界を憎んでいた。
毎日毎日自分と世界を呪っていた。
無意味だ。私の人生は無価値だ。
こんな世界なくなればいい。
死んでしまえ、死ね、死ね、死ね。
壁にもたれて何度も呟いた。
私の人生なんていらない。
そう叫んで今すぐ首を吊って死んでやろうか。
なんて、あの日の私はいうんだろうな。
それでも何でかな。私は今も生きている。
たまに死にたくなりながら惨めに哀れにそれでも死ねずに、今を生きている。
#声劇 #台本 #台詞
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