名曲揃いの名盤「夢供養」のB面1曲目。
助詞の「の」で繋ぐ詩は万葉集を思わせる文語調。ワープロソフトで打てば「の」の連続!と注意されるアレです。
歌詩を全文掲載しますが、古語に枕詞に掛詞に直喩暗喩が散りばめられ、こんなに静かで短い歌なのに物凄い情報量が込められています。
別離を予感しながら嵯峨野を散策する二人。
等持院の庭、椿が一輪心字池に落ちるのを見る。
水鏡を壊して広がる波紋とリンクする「わたし」の心。
これもまた色々な物語を想像できる情景です。
これではね、小学生にはわかりませんよね。
池に身投げする歌かと思ってたもんなぁ…。
「夢供養」はさだまさし27歳の誕生日にリリース。
26歳でこの歌を歌っていたのですね。
─────
衣笠の古寺の侘助椿の
たおやかに散りぬるも陽に映えて
そのひとの前髪僅かにかすめながら
水面へと身を投げる
鏡のまどろみのくだかれて
錦の帯の魚のふためいて
同心円に拡がる紅のまわりで
さんざめくわたしの心
春の夢 朧気に咲き
春の夢 密やかに逝く
古都の庭先野辺の送り
ふりむけばただ閑かさ
化野の古宮の嵯峨竹の
ふりしきる葉洩れ陽にきらめいて
そのひとのこぼした言葉にならない言葉が
音も無く谺する
足元に蟠る薄氷に
靄めいた白い風立ちこめて
春告鳥の問いかける別離に
たじろぐわたしの心
春の夢 朧気に咲き
春の夢 密やかに逝く
古都の庭先野辺の送り
ふりむけばただ閑かさ
─────
春告鳥=鶯の鳴き声が最後の方に入っています。
#さだまさし #夢供養
Comment
No Comments Yet.