特殊部隊:零
作者:不明
特殊部隊:零
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--第一話--
この世界の朝は騒がしい。
パトカーや救急車、消防車の警報音。
けたたましく鳴るサイレンの音。
今日もどこかでパラドクスが暴れている。
「うるさいですねぇ……」
そう言って部屋の窓を静かに閉めたのは、人間とは異なる姿をした男だった。
男の特徴として、頭が目玉で出来ており口らしきものは見ている限りない。男は白衣を纏い、黒いワイシャツに青いネクタイをきっちりと締め、黒い手袋で黒い帽子を被った。
男の名は【リハク】。某大学で勉強を教える若き教授である。人間とは異なる姿をしたリハクだったが、危険性のない異形として地球政府から直々に許可された。だがそれだけでは留まらず、リハクは人間にとって多大なる功績を残した。
それこそが『何故人間は異能力を持つのか』という話だ。
ーーー簡単な話だった。
「……綺麗な空なのにどうしてここまで汚くなれるのか…」
窓の外を眺めるリハクの目が少し訝しげに動いた。リハクはふぅと息をつくと玄関のドアを丁寧に開けた。
朝日がリハクの目に飛び込んでくる。風は少し肌寒いと感じるくらいだった。
街にはたくさんの人間が集う。通勤に追われる人、通学を急ぐ人。
コツコツと歩く度に音を立てる黒色の革靴は昨日より少し汚れていた。手に持っていた仕事用の茶色のカバンは革にやや傷が出来ていた。
リハクは歩みを速めた。
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