TBS制作のドラマ 〝ありがとう〟は、ホームドラマ全盛期の1970年代を代表するテレビドラマで、同年代に放送された『時間ですよ』や『肝っ玉かあさん』と共に“ドラマのTBS”の象徴的作品のひとつでありました。脚本の平岩弓枝とプロデューサーの石井ふく子の組み合わせは、『肝っ玉かあさん』を手掛けたゴールデンコンビで、『肝っ玉かあさん』と並んでホームドラマの金字塔を打ち立てた。シリーズ最高視聴率は、民放ドラマ史上最高の56.3%を記録した。第1シリーズ(婦人警官編)、第2シリーズ(看護婦編)、第3シリーズ(魚屋編)、第4シリーズ(カレー屋編)で放映されましたが、第1シリーズから第3シリーズまでは、水前寺清子と山岡久乃の母と娘の日常生活、石坂浩二との恋、その家族や近所の人々を描いた。石井はこのドラマを構想以来、水前寺がTBSに歌の仕事に来るたびに局内の女子トイレで待ち構えて口説き、歌手しかやらないという水前寺をついに出演させたというエピソードが残ってます。第3シリーズをもって、水前寺が歌手活動に専念したいとの意向で降板したため、第4シリーズは大幅に配役が変更され、京塚昌子と佐良直美が母娘を演じました。しかし、視聴率が大幅に下がったことや、TBS系列の準キー局が朝日放送から毎日放送へとネットチェンジしたことなどもあって、結局第4シリーズで終了しました。