ラップといえば音楽に合わせて喋るわけですが、逆に喋りに合わせて演奏する音楽があってもいいじゃない、と、思ったのです。その事を思いついてからというもの、僕の生活は一変しました。メガネは曇るしトイレットペーパーの二枚重ねのやつが分かれて薄いのしか取れなくなるし、犬は吠えるわ猫は鳴くわ魚は開くわ牛はカルビになるわ。一刻も早くその音楽を作らないと身がもたないと思った僕は、早速制作に取り掛かったのです。五線譜を見つめる事数時間。意を決してト音記号の練習を始めました。568回書いたところでようやく納得のいくト音記号が書けたので、ついに僕は通常の生活を取り戻しました。今みなさんに聞いていただいている音楽がまさにそうやって作られた音楽です。二度と聞きたいとは思わないでしょう。