ひとり部屋のバラッド
Unknown
ひとり部屋のバラッド
- 10
- 0
- 0
【青江へ】
青江、青江。そこにいるんだろう。だから、俺はこうやって布団を敷いた。菓子を用意した。青江、お前が帰ってきてくれると、信じて。
…なんて。本当は全部理解しているんだ。お前はもういない。あのとき俺を庇って折れてしまった。
どうしても、どうしても、受け入れたくなんてなかった。お前が折れてしまったなんて。でも、お前が帰ってこないまま1年経った。それで、やっと、理解した。遅すぎだと、お前なら笑うだろうか。
俺には、炎しか記憶がない。そんな俺に、お前は記憶を、思い出を、抱えきれないほど与えてくれた。感謝してもしきれないんだ。しきれないのに、お前はそれを伝えることも出来ないまま逝ってしまった。辛いんだ…辛いんだ。青江。
お前ならこんな時「前を向いて」って言葉をかけるのだろうな。兄弟や堀川と、前を向いて進めって、そう、言うんだろうな。
…俺は、お前がいないこの部屋に、まだ、慣れないんだ。
【骨喰藤四郎】
兄弟、堀川。俺が前を見て歩けるのは、いつ、なんだろうな。
Comment
No Comments Yet.