Lyrics ほおずき グレープ
Written by
さだまさし
Composition
さだまさし
いくつかの水たまりを残して
梅雨が駆け抜けてしまえば
しめった風の背中越しに
きみの好きな夏が来ます
あの日きみにせがまれて
でかけた小さなお祭り
綿菓子の味 アセチレンの光
きみは赤いほおずきを買った
ため息でまわしたひとつのかざぐるま
とまらずに とまらずに
まわれと二人祈っていたのに
きみの下駄の鼻緒が切れた
ひとごみにまかれて切れた
僕の肩にすがり うつむいたきみは
おびえるように 涙をこぼした
走馬灯に照らされて
僕はほおずきをかんで
風鈴の唄に合わせてきみが
団扇でそっと風をくれた
僕の肩越しに
子供の花火をみつめ
きみは小さく つぶやいた
消えない花火が あるなら欲しいと
たわむれに刻んだ
二人のたけくらべ
背のびして 背のびして
つま先立っても とどかない
あの日のお祭りに
今夜は一人で行ったよ
想い出のほかに ひろったものは
誰かが忘れた ほおずきをひとつ