Lyrics 屋上のブルース 友部正人
Written by
友部正人
Composition
友部正人
日暮れに屋上で会おうよ
旅行者が自分にそう言った
日暮れに屋上で会おうよ
旅行者が自分にそう言った
屋上で風は
さめた
紅茶のように吹いていた
海辺でライオンたちが飛びはねていた
ぼくはライオンのふるさとへやって来た
一番電車は朝の光を
銀行のある町まで運んで行った
やがて暗がりにいた黒猫が
もう一つの暗がりに会いに行く夜が来た
日が暮れていくのを見ているのは
音楽を聞いているのによく似ている
町に一つ一つ灯が点るのは
役者が衣装をかえるのによく似ている
音もせりふもないけれど
何か聞こえてくるものがある
金色の髪を持つ若者が
空の青いドアをしめるころ
オーストラリアの草原に
黒い髪の女が立っている
二人は地球の反対側で
昼と夜のように暮らしている
夕闇は音もなく騒がしい
なのに澄みわたっている
地球の向こう側にいるはずのあの娘が
ぼくの目の前に見える
涙は目にたまっても
あの娘の姿はかすんだりはしない
日暮れに屋上で会おうよ
旅行者が自分にそう言った
日暮れに屋上で会おうよ
旅行者が自分にそう言った