Lyrics さまよえる定住者 友部正人
Written by
友部正人
Composition
友部正人
さまよえる定住者が
空をのしのし歩いてる
マントにたまった不安の水を
今にもこぼしそうになりながら
空が西に傾いて
お皿の水が カラになる
夜の国の光が消えて
光の国に 夜がくる
さまよえる定住者が
住宅街をのしのし歩いている
夜になると暗がりに
透明な影が佇んでいて
曲がり角の消火栓になって
旅に出たいと 思ったり
駐車場の貼り紙になって
ここにいたいと泣いたりしている
さまよえる定住者が
洗面器を持って立っている
少しだけたまった雨水で
あの子が記念切手を剥がしている
アルミの洗面器のデコボコが
美しい夕焼けで 眩しいよ
膝の上で抱かれるみたいに
あの子は洗面器の中で丸くなる
さまよえる定住者が
ヘチマ畑をのしのし歩いて行くよ
誰もいない夜の図書館に
地底旅行記を読みに行く
図書館の書架の裏側は
地球の中心へと続いている
百科事典を抱えた館員が
噴火口から出たり入ったりしているよ