Lyrics 黒い犬 友部正人
Written by
友部正人
Composition
友部正人
川のほとりまでやって来て
ぼくは君の姿を見失った
ぼくが君だと思っていたのは
やせこけた一匹の犬だった
いつからぼくはこの犬を
君だと思いこんでいたのだろう
君だと思って話しかけ
君だと思って抱いて寝た
うずくまって眠るやせた黒い犬
お前の名前は何なのだ
ぼくが名前を呼んだから
お前はついて来たのかい
お腹をすかした黒い犬は
夢の中でニワトリを食べている
ついさっきまでこの川のほとりで
うるさく鳴いていた奴さ
ところで君はどこへ行ったんだ
さまよい歩くぼくの幻想よ
君の名前をこんなに呼んでいるのに
君は青い空のように返事をしない
君はいつから犬のふりをして
いつ犬とすり代わったんだ
途方に暮れたぼくの疑問に
答えてくれるものは何もない
川のほとりに朝が来る
昨日までの君はどこにもいない
新しい君を乗せた船は
もうとっくに行ってしまったんだろう
でも君はいつか別の姿で
黒い犬に会いに来るだろう
終電車が出たあとの駅前広場に
残された自転車のような黒い犬