Lyrics 片おしどり さだまさし
Written by
さだまさし
Composition
さだまさし
彼女は夏の間 湖のほとりで
家族と共に過ごす事になってた
危な気に走る孫達を目で追って
水辺に過ぎゆく一日を愛してた
働くだけの日々を過ごしてふと気付けば
もう自分で歩けない程年老いてしまった
人は子供達の為に生きて来たというけれど
それは違うわ ただあなたに
ほめてもらいたくて夢中で生きただけ
愛する人々に恵まれた幸福を
彼女は少し恥ずかしい気がしてた
先の戦さで死んだ愛する人の事を
いつしかしぼんだ掌であたため乍ら
時折目を閉ざしてその人に呼びかける
あなただけいつもいつもあの日のまま若いなんて
ずるいわ 私ばかり
こんなおばあちゃんになってしまったわ
だからもう恥ずかしくて
ほめてほしくてもあなたに会えないじゃないの
今日もまた湖の向こうに陽が沈む
さざ波がいつか金色に変ってる
シルエットになったおしどりがただ一羽
静かに水面を泳いでいった