Lyrics あれは忘れもの 友部正人

こんな暑い日には どっか日陰をみつけ 冷たい石の上に ねそべっていよう 誰のことも考えない おそらくぼく自身のことも ただ（冷たい石の上で）石の気持ちいい冷たさに 目を閉じよう そのうち 口のまわりには ひげがはえてるだろう 額にはくっきりとしわが 増えてるだろう ねぇ 通りすぎていく君よ ぼくには無邪気な牧童の杖がある 青い空で糸をひく すてきな笛の音や 軽くて肌ざわりのいい ズボンを持ってる 髪や肩や足は汚れて ベトベトしてるけど 頭の上にはいつも 涼しい 風が吹いている 歩いてきた町並みは もう数えきれない ただどこも同じように 黒ずんでたことだけおぼえてる おまわりに追われた夜 留置場で泣き明かした朝 いつまでもぼくの手を ささえてくれた人がいた その人も今は結婚して 子供が産まれ 君と同じようにぼくの 前を通りすぎていく ああ この石の上には遠い大陸の風が吹く 黄色い中国の砂あらし いやいやミシシッピーのせせらぎの音 どこへでも行くだろうさ（行ってやろう） そうさどこへでも 暑くてすてきな毎日じゃないか ああこの町の空高く 飛行機がなつかしい弧を描く あれはいつかの忘れもの あれは忘れもの