𓄢 𝘏𝘢𝘪𝘯𝘦 𓄢

終わり方ばかり気にした色褪せた物語だ . 貴方が創りやがった出来損ないだよ . せめて債を投げたのが昔の自分であれば， そう思ったこともあったけど，もしそうなら この糸の先にいるのは神ではなかったさ . だから叫ぶしかない . 『 全て 全て 生まれ変われ ! ! 』

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いつの間にか，全身に影が纏わりついてる . ああ，また同じことが起きるのかと， ひずみは更に大きくなった .

傷付け暴れる私を，家族は容易に手放した . 諦観 . 軽蔑 . 正しい生き方を知らない体は すぐに言うことを聞かなくなった . 苦痛 . 鎮定 . 生にしがみつこうと動く私を もうひとりの私が"あーあ"と見つめる . 厭世 . 矛盾 . 窓の外の景色はどこも綺麗で . 羨望 . 嫉妬 . 自分以外の誰もが満ち足りていることに おかしいと感じてしまう . 憎悪 . 疑念 . まるで誰かに創られた箱庭のようだ . 胡乱 . 不信 . 大切だと思えるものが何一つないこの世界を， なんのためをも思えない空っぽな自分を， 壊して消して生まれ変わらせたいと，心底思った. 誰かが仕組んでいるかのように，時の流れと共に, 破壊衝動の理由となり得る出来事ばかり起きた . 生まれた時からあったものに， まるでこちらを納得させるが為に誰かが理由を 後付けしている，そうだとしか思えない . 因果の逆転が途方もなく気持ち悪くて， 視界は更に歪んだ . 極めつけはこれだ . 成長と共に，自分じゃない誰かの記憶が 頭をよぎるようになった . 断片的に，少しずつ . 靄が掛かったようにうまく掴めないが， それは確かに自分の記憶であり，恐らく 前世の記憶であろうことに気付いてしまった . 神ってのは存外いい加減なのだろうか . 生まれ変わらせるのなら， 全部ちゃんと綺麗に消すべきだろ . 泥をいくらこねたって 泥にしかならないんだから . 全てを仕組んでいるのはきっと神とやらで， この気持ち悪さも不信感も 全てが手の内なのだろう . 何も信じられない .

目を覚ました時から，はっきりと不思議なほど 意識は覚醒していた . 心は生まれた時から破壊衝動に塗れていた . 消したい . 壊したい . どうして . そんな衝動が，まるで前世から 定められていたかのように，深く根付いてる . 魂の奥深くに染み込んで離れない . 飢えた獣は，早く早く ! と私を急かす . 焦燥に駆られるまま，無為にやたらに 物を 人を 自分を 攻撃した . 自分の原初的とまで言えるこの願望の源泉が 最初は分からなかった . 理由がないことに底知れない気持ち悪さを 感じて，世界はいつも歪んで見えた .

輪廻転生 / まふまふ 様 https://nana-music.com/sounds/067e0ae6

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ブツンという音を錯覚する . 一言二言呻いたのを最後に， 一斉に糸が切れたように， 重力に従って倒れ伏した . 体は不自然な方向に捻れていた . この世界は，神の慰みものなんだろうか . 見て，いられなかった .

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浸食された体では， 思考もまともに動かないだろう . それでも対敵の歌は聞こえるのだろうか . 聖女と呼ぶにふさわしい， 柔らかく透き通った歌声が響き渡った . けれど，光が強まるほど影の色は濃くなる . 叫喚が堰を切ったように溢れた . 無理やりに喉を使い潰し， リミッターなどなく，ただただ狂ったように . 悪魔を振り切るほどの強過ぎる意図は， 悲鳴の如き叫びは， 傷口を抉るかの如き呻きは， 体を厭う理性などない凄烈な咆哮は， されど言葉に変換されることはなかった . 私たちには届かなかった .

マリオネットアリア / SILVANA 様 https://nana-music.com/sounds/0673dae6

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嫌いなものは除いて， 苦しいものは遠ざけて， 憎いものは壊して， ぜんぶ 壊して壊して壊して 壊して壊して壊して こわれたい あれ あれ？ なにか，わからない，なぁ， ほんとうは，こわれたかった， あれ，こわしたかったんだっけ， あれ，なにが，こわれたいの？ 染まる . 染まる . 染まる . いやだいやだいやだ， のみこまれるくらいなら， じぶんで じぶんで，こわす ｰｰｰｰｰｰ あ，でも，いたいのは ｰｰｰｰｰｰ もういやだなあ . 黒く染まった左目が異質な動きをした . 涙は，右目から流れた . 黒く縛られた体は震えなかった . ここちよかった . あは . Cher mon diable. 悲鳴は，もうきこえなかった .

間違っていても，壊していても， 壊している自分は正しいと思っていた . 思い込んでいた . ならばこれは，報いなのだろうか . ｰｰｰｰｰｰどうか . なんて悲鳴，届いちゃったんだ .

流した涙が濁るような . 発した歌声が割れるような . 伸ばそうとした手が崩れるような . そんな不条理で奇怪な感覚が襲った . 「 ほら 」 耳元できこえた囁き . 悪魔か神か，そんなのもう どうでも良かった . 声がトリガーとなって， 自分の中にある"何か"が 膨れ上がって，弾け飛んで，溢れた . 叶ってはいけなかった願いが今， 聞き届けられる . 浮遊感に包まれる . 全身が不快な熱を持った . 脳が茹でられるような感覚 . 目の前が融けていくかのように 意識が遠のいた .

涙が伝った . 喉が苦しかった . 吐く息が乱れた . 吸う息が足りなかった . 縋るように手に固く爪を立てた . 震えは止まらなかった . 何で？ 何が駄目だった？ 何処が間違っているの？ でも，でも，でも，だって， 居づらい世界は嫌いだった！ 痛みを植え付ける世界が憎かった！ 歪んだ世界は気持ちが悪かった！！ そう，はじめは正そうとしていた はずなのに， 生きやすい世界を夢見た . 痛くない世界が，心地よい世界が， あるんじゃなかと信じてみた . 欲しかった . それだけ，なのに . どうかって，願っただけなのに . あ ｰｰｰｰｰｰ全部自分の為だけだった .

ｰｰｰｰｰｰあ，え？ 何を，しようと？ だって，殺そうとして？ え？ 違う ちがう 私は，歌った . それが手段だから . それだけで， それだけ，だろ？ いつのまにか記憶は錯誤している . 思考が壊れていき，認識が歪む . 自分の中の何かが 変質している感覚がある . 手招きが見えるようだった . 違う！ 私はお前らとは違う！ 狂ってなんか，狂ってなんて， くるわけない！ 私は操られてなんていない！！ その目を止めろ！！！！！ 自分を哀れむ . それが魂を売る行為だということは わかっている . これが悪夢なら， 簡単に溺れられたのに .

ふと，嫌な感触がした . 私はこんなことしていないのに， まるで本当に私がしたことのように ， まるで思い出すかのような， 鮮烈で克明な感覚と記憶 . 夢のような正夢 . 正夢のような夢 . フラッシュバックした .

堕落 . 不埒 . 外道 . 自覚はある . 世界を壊そうとした . その為の力を手に入れようとした . その為に戦った . 戦いは痛く，歌は苦しいものだった . 叫ぶように，引き絞るように， 縋るように， 歌った . 歌って，殺した . 殺して，歌った ． 勝ちたかった .

ヴィータ / 柊キライ 様 https://nana-music.com/sounds/0668d371

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最後に，悪魔はこう呟いた . 「 神とやらに惑わされるなよ 」 ああ . 言われなくても，わかっているさ .

「 お前らに完璧で間違った踊り方を教えてやる 」 ふと聞こえてきた声 . 最初は幻聴かと思った . 戦えと云う . 力が欲しくば . 抗え，と . それはきっと，まさしく，悪魔の囁き . …やってやる . こんな狂った世界なんて 私が徹底的に消却してやる . この世界は 狂信しか産まれないように創られた温床だ . どうせ悪魔の言葉を聞いたところで お前らには何のことだかわからないんだろう？ そんな終わってるお前らを 私がちゃんと終わらせてやるよ . なぁ，お前ら！！ わからないと言うなら そのまま永遠に堕ちていればいいさ . 狂ったように信じて そのまま死んでいろよ！ 世界がなくなったところで お前らは気付けないんだろう？

猫も杓子も疑問を抱かない . 誰も彼もが流されるだけ . 創られた世界 . 創られた存在 . そんなことは知っている . 与えられて，それを丸呑みし続ける人生 . 囲われた世界の中で，ぬくぬくと暮らす生涯 . 正しいと言われて，一生それを疑わない . ご立派な神託を受け取って . ご親切に教えを説いて . ご丁寧に教条なんて作って . そうなるようにしかならないような生き方に 心底苛立ちを覚える . なぁ，私達は操り人形か？ 狂っている . 狂っている . 私は違う！ 私は，自分で生きている . お前らとは，違う .

悪魔の踊り方 / こんにちは谷田さん 様 https://nana-music.com/sounds/065d6db1

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