𝓕𝓸𝓾𝓷𝓽𝓪𝓲𝓷 𝓢𝓺𝓾𝓪𝓻𝓮 ⛲️

｢わー、雪ですね、、、｣ シズは空から降ってきた雪を見ながら、寒そうにマフラーに顔をうずめる。 ｢寒いですね〜！ ｣ ヤヨイも寒そうに、両手にハーっと息をかける。 ｢今日の警備も終わりましたし、早く戻りましょうか！騎士団へ。｣ 2人は本日の警備が終わったので、足早に騎士団へと向かう。 ｢シズさん、頭にいっぱい雪ついてますよ。｣ ヤヨイはシズの頭に付いている雪を手で払いながら告げる。 ｢ヤヨイさんありがとう！｣ そうこうしているうちに、2人は騎士団へと到着した。 ｢あ、じゃあ私ポスト見てからいくので、シズさん先に戻っててください！｣ ヤヨイはしずに声をかけポストの投函物を取りに向かう。 シズはヤヨイの言葉に甘え、騎士団の休憩室へと向かった。 ｢｢おかえりなさい！！！ ｣｣ 扉をあけると、カナメとレイが出迎えていた。 ｢わ！？びっくりした、、、！｣ シズは驚いて思わず声が出る。 ｢あれ？ヤヨイさんは？｣ カナメは一緒にいると思ってたヤヨイがいなくて、きょろきょろする。 ｢ポスト見てから来るって言ってたんでもう来ると思いますよ｣ シズはカナメに答える。 ｢戻りました〜！ってあれ！？ 何この御馳走！！お酒もある〜〜！｣ ヤヨイは入ってくるや否や、並んでる料理や飲み物を見て嬉しそうにしている。 ｢実は、今日はヤヨイさん歓迎会＆シズさん送迎会を開くこうって話をしてて、色々準備してたんですよ〜！｣ レイは2人に説明をする。 ｢ちなみに！ このお菓子たちはレイさんが作ってくれました〜！ もうずっと美味しそうな匂いがしてて、早く食べたくてしょうがなかったんですよ実は、、、｣ カナメは美味しそうなお菓子たちを自分の事のように説明する。 ｢わぁぁぁ、ありがとうございます！ 送迎会してもらえるなんて思ってなくて凄く嬉しいです、、！｣ シズは嬉しそうに準備してくれた2人にお礼を告げる。 ｢私がお酒好きって知ってて買ってくれたんですか！ 嬉しいなぁ、外寒かったからお部屋も暖かくて嬉しい、、、｣ ヤヨイも喜びを2人に伝えた。 4人は美味しい料理と、美味しい飲み物、お菓子を食べ、談笑しながら歓迎会＆送迎会を過した。 ｢そういえば、ポストになんか入ってました？｣ レイはヤヨイに尋ねる。 ｢あ！！！そうそう、入ってたんですよ！ 騎士団宛と、シズさん宛の二通です。｣ はい、とヤヨイはレイとシズへ手紙を渡す。 ｢どっちも、王宮から！？｣ カナメはびっくりしたように差出人を見る。 ｢えーと、3月31日に 、王宮へお集まりください。大切なお知らせがあります。 3月31日は、王宮より警備を致しますため、騎士団の皆様もお休みとなります。｣ レイが手紙を読み上げる。 ｢シズさんも同じ感じですか、、？｣ ヤヨイはシズに質問する。 ｢あ、私のも同じ感じでした。街から出ていくわけではないので、、次みなさんに会えるのは3月31日ですね！！ また会えるの楽しみにしてます、、！｣ シズはにっこりと微笑む。 ｢でも王宮が、なんの用事なんだろう、、、？｣ カナメの一言に、皆も頭にハテナを浮かべたのだった。

騎士団、𝓙𝓮𝓾𝓷𝓮 𝓒𝓱𝓮𝓿𝓪𝓵𝓲𝓮𝓻(ジュンシュヴァリエ)では、新スタッフのヤヨイの歓迎会と、シズの退団の送迎会を同時に行うことにした。 今は、その準備をカナメとレイでしている。 ｢カナメさん！ この前カフェで習ったお菓子を手作りでまた振舞おうと思ってるんですけどどうですか！？｣ レイはわくわくした面持ちで、カナメに問いかける。 ｢めちゃくちゃいいですね！ じゃあ私は、飲み物とか、お惣菜とか色々買ってくるので、、！お菓子作り頑張ってください。｣ カナメはレイの提案に頷き、買い物へと出かけた。 シズとヤヨイは、街中の警備の日の為、帰ってくるのが夜になるので、2人が警備へと出かけてすぐ、部屋の飾り付けも済ませた。 カナメが出かけている間、騎士団備え付けのキッチンからは甘くていい匂いが漂っている。 オーブンにお菓子たちを入れて、一息ついていると、カナメが戻ってきた。 ｢戻りました〜！ めっちゃいい匂いですね！！ あ、これが飲み物でお茶とジュースと炭酸と色々買ってきました！ あとこっちがお惣菜系です。 ついでにケンチャッキーで、チキンとポテトとかも買ってきたので置いておきます。 また直前に温めましょう。｣ テキパキと、冷蔵庫に飲み物やらお惣菜やらを仕舞いながら話をするカナメ。 ｢なんだか、そわそわしますね。｣ どこか落ち着かない様子のレイ。 ｢はい、喜んでもらえるといいですね！｣ カナメも少し落ち着かない様子で、微笑む。 レイが作ったお菓子も出来上がり、粗熱をとり、冷蔵庫へしまった。 ｢わ、、、雪、降ってきましたね。｣ カナメは外を見てレイに話す。 ｢ほんとですね。寒いだろうからお部屋温めておきましょう？ ｣ レイは暖房の温度を少しあげた。 2人は外の雪を見ながら、シズとヤヨイの帰りを待っていた。

｢ふぅー、外寒かったね！｣ 莉生は、沙耶を連れて店の中へ入り一息ついた。 ｢2人とも、ホットココア入れたけど飲む？｣ 先に入ってた晶羽が2人へ飲み物のカップを差し出す。 ｢晶羽さん、ありがとうございます！ あったかい〜！いただきます。｣ 沙耶は、お礼を告げカップを手に取り、1口飲む。寒くて冷えていたからだには、あたたかさが染み渡るようだ。 ｢晶羽さん！ありがとうございます！ココア美味しい〜！｣ 莉生もニコニコしながらココアを口へ運ぶ。 ｢少ししたら華純さんのところへ、お見舞いに行きましょうね？｣ 晶羽の一言に、2人は頷きながらココアを飲む。そして、出かける準備を終えた3人は、華純の家へと向かった。 ｢そういえば、晶羽さんさっき、案出しするって言ってませんでした？？ 歩きながら連絡してもらって大丈夫ですよ！ 私たち周りみてるので！｣ 莉生は、雪かき中の晶羽の言葉を思い出し、問いかける。 ｢ふふ、じゃあお言葉に甘えて、案出しのメール作成しちゃおうかな？｣ 晶羽は、早速新しいコスメの案を本社宛にメール作成していた。 ｢着きましたよ〜！｣ 沙耶が告げる。 ｢私もちょうど本社にメールし終わったわ。ん？なんか未読メール来てるわ。確認しないと、、、｣ 晶羽が未読メールを確認している中、沙耶は華純の家のインターホンを鳴らす。 ｢はーーい！｣ 中から華純の声が聞こえ、ガチャっと扉が開いた。 ｢皆さん、わざわざありがとうございます！雪も降ってますし寒いですよね？さぁさぁ上がってください！｣ 華純の誘いで、3人はお邪魔することにした。 ｢あ、そういえばさっき、未読メールが〜って言ってたやつって本社からですか？｣ 莉生は、晶羽に尋ねる。 ｢いえ、それが、、、王宮からなのよ。 読みあげるわね。Rossetto Magicoの皆様、3月31日に 、王宮へお集まりください。大切なお知らせがあります。 3月31日は、全てのお店が休業日となりますので、ご安心ください。って、、、｣ 4人はなんで呼ばれたのかは見当もつかないようで、驚いたようにそのメールを覗いていた。 3月31日何が起こるのだろうか….

昨日の雪で、｢Rossetto Magico」の店の前は雪が積もっていた。 まだ雪は小降りではあるが、降っている。 外は雪で寒い中、店の前を雪かきをしていた。 ｢ん〜寒いなぁ。 早く終わらせてお店の中入りた〜い！｣ 莉生は、寒さに耐えれない〜と言ったように少し震えながらも、雪かきを頑張っていた。 ｢こっちの方もう終わりそうだから終わったらそっち行くわね｣ 沙耶は自分の持ち場の雪かきがもう終わるようで、莉生に声をかける。 ｢こっちももう終わりそう！ あとは莉生ちゃんの周りで終わりそうね！｣ 晶羽も、終わりかけのようで莉生に声をかける。 ｢2人ともありがとう〜！ 早いね！｣ ｢莉生のところだいぶ固まっちゃってて大変そうだし、こっちは結構柔らかい雪ばっかでやりやすかったわ｣ 沙耶は莉生に声をかけながら、莉生のそばに来る。 ｢うんうん、莉生ちゃんのとこ頑固な氷みたいになってて大変そう。｣ 晶羽も、そう声をかけ莉生のそばの氷をガリガリとやり始めた。 ｢ん？？ ねぇねぇ、沙耶ちゃん。 あの雪だるまなーに？｣ 莉生は、沙耶が作業を終えたスペースにある雪だるまを見ながら沙耶に聞く。 ｢え！！ あ、いやほら、柔らかい雪触ってたら楽しくなっちゃって雪だるま作っちゃったのよ｣ 少し恥ずかしそうに、話す沙耶。 ｢えーーなにそれ！沙耶ちゃん可愛い！私もなにか作ろうかなぁ ｣ 沙耶の珍しい行動に驚きつつも、莉生も雪のうさぎを作り始めていた。 晶羽はその光景を微笑ましく見ていた。 ｢ふふ、何だか新作コスメの案が思いついちゃったわ。 雪かき終わったら、本社に案だししてみようかしら｣ 晶羽は嬉しそうに2人に話す。 ｢あ、晶羽さん！雪かき終わったら、華純さんのところへお見舞い行こうって沙耶ちゃんと話してたんですけど、一緒に行きませんか？｣ 莉生は、晶羽に問いかける。 ｢とってもいいわね、そしたら案出しは、スマホから本社へ連絡しようかしら。 華純さん、回復しているといいわね！ ｣ 晶羽は、答えた。 沙耶はというと、莉生が作った雪のうさぎが可愛くて、自分も作れないかと試行錯誤していたが上手く作れなかったようで、莉生の作った雪のうさぎの写真を撮っていた。 ｢ふ〜、終わったわね！一旦、お店の中で少し温まってから華純さんの所へ行きましょうか！｣ 晶羽は、雪かきを終え2人へそう声をかけ、お店の中へと入っていった。 ｢沙耶ちゃん、寒かったね〜！ 沙耶ちゃん手冷たい！早く中入ろ！｣ 莉生は沙耶の手を掴み、店の中へと入っていった。

そう、ここは衣装屋「Chou chou 」だった。 店の前には 定休日の札がかかっていた。 「入りますよ〜！」 ルーチェの勢いに押されながら、灯火は店の中に入る。 「え！？あ、うん！」 ーーガチャッ 「灯火さん！！退院おめでとうございます！！！」 中から花束を持った杏姫と、微笑みながら拍手をしている彩晴が退院のお祝いで、灯火を見る。 「杏姫ちゃん！それと、彩晴ちゃんも、来てくれてありがとう！ 初めましてだね！？ 入院中はご迷惑をお掛けしました。」 灯火は、2人にお礼と謝罪を告げる。 灯火と彩晴は初めましてのため、お互いに挨拶をして話をしていた。 「灯火さん！これ、花束です！ 飾ってください。」 杏姫は、花束を灯火へ渡した。 「ありがとう！せっかくだからお店に飾っちゃおうかな〜」 灯火は早速、花瓶に水を入れ、お花をレジのそばに飾った。 すると、急に電気が暗くなる。 「「はっぴばーすでー とぅーゆー」」 と、杏姫と彩晴が、奥からケーキを抱えて出てきた。そのケーキには誕生日おめでとう ルーチェ とメッセージの書かれたボードがのっている。 「え！？！？」 ルーチェは少しビックリしているようだ。 「えへへ、実は〜、ルーチェちゃんに灯火さんを迎えに言ってもらってる間に杏姫ちゃんと、ルーチェちゃんの誕生日のお祝いの準備もしてたんだ〜！」 と、サプライズが成功して嬉しそうな彩晴。 「だから今日は、灯火さんの退院お祝いと、ルーチェちゃんの誕生日お祝いでダブルお祝いパーティだよ〜〜！」 杏姫も嬉しそうに、話す。 「びっくりした！！ 何も聞かされてなかったから、誕生日お祝いして貰えてすごく嬉しい！」 ルーチェは驚きつつも嬉しさを隠せないようだ。 ケーキを食べ、ジュースで乾杯して、最高なパーティとなった。 こんな雪の降る街にも、温かい時間が流れててもいい。そんな物語。 「あれ？この手紙何？ 王宮から、、？」 灯火は、封筒を不思議そうに見る。 「あ、それ灯火さん来てから開けようと思ってたんですよ！大事なお知らせかも〜って思って」 ルーチェは、灯火へ説明をする。 灯火は封筒を開け、中の手紙を読む。 「えーと、、、衣装屋Chou chouの皆様、3月31日に 、王宮へお集まりください。大切なお知らせがあります。 3月31日は、全てのお店が休業日となりますので、ご安心ください。 だって、、！ 」 どういうことだろう？？ と4人は頭にハテナを浮かべたが、王宮からの通達のため、集まりに参加することにした。

灯火が退院する日、外は冬らしく粉雪が降っていた。 「寒いなぁ〜、退院の日晴れてたら良かったなぁ」 一人言を呟きながら病院を出る灯火。 「灯火さん！」 突然呼びかけられてびっくりしながら声のする方を向く灯火。 そこには、ルーチェの姿があった。 「ルーチェちゃん！？ わざわざ、来てくれたの？？」 退院の日に、ルーチェが灯火を迎えに来たのは理由があった。 「はい！灯火さんが今日退院って聞いていたので、来ちゃいました！ 実は来て欲しいところがあって、、、！」 ルーチェは、灯火に微笑みながら話す。 「来て欲しいところ？家すぐそこだから荷物を置いてから向かってもいいかな？」 何だか楽しそうな予感がして、抱えた荷物を家に置いて、着いていきたいと伝える灯火。 「はい！もちろんです。それより、やっと退院したのにまた風邪ひいちゃいますよ？」 ルーチェは、灯火に傘を差し出し、相合傘をした。粉雪とはいえ、髪の毛に雪がついているのをみて、ルーチェは心配そうに告げる。 2人は、相合傘をしながら灯火の家に向かった。ほんとに荷物だけを置いてでてきた灯火は、早く行きたい！とばかりに楽しそうな表情を浮かべている。 「灯火さん、なんだか楽しそうですね！」 それを察したルーチェは、どこか嬉しそうな顔をしている。 「うん！久々のルーチェちゃんに会えたのも凄く嬉しいし、なによりどこか連れていってくれるのも嬉しいよ！」 どこか見慣れた道を歩きながら、灯火は会話をしながらルーチェの後をついていく。 「着きました！」 ルーチェの声に、灯火は、 「あれ？ここって….」

💋出会い後編です❣️ 明日から、サウンドストーリー順次公開していきます☺️

💋の出会いです❤️‍🔥(前編) 後編は明日❣️

翠と六花は、珀と瑠愛を誘って 騎士団「𝓙𝓮𝓾𝓷𝓮 𝓒𝓱𝓮𝓿𝓪𝓵𝓲𝓮𝓻」の前まで来ていた。この事はレイにも伝えてある。 以前、レイにお世話になったということで、騎士団の皆さんにお礼をしたいということでやってきたのだった。 「六花さんと翠さん！ とカフェの皆さんもこんにちは！今日はチョコ持ってきてくださってありがとうございます。2人呼んできますので着いてきてください。」 レイは全員を中に招き入れる。 「レイさんお客さんですか？」 シズは、何だか大人数の来客にレイへ声をかける。 「なんだか騎士団に用事があるようだったので立ち話もあれかなって思って中へ案内してます！ お茶とか用意お願いしてもいいですか？」 レイはシズにそう声をかけ、4人を応接室へ案内する。 「どうぞこちらに掛けてください。 今お茶お持ちしますので少しお待ちくださいね？」 レイは、準備しているであろうシズの元へと向かった。 そこにはカナメもいて、お茶の用意を手伝ってくれていた。 「あ、レイさん。お客さんなんですね！さっきチラッと見たんですけど皆さんなんだか可愛らしい方で緊張しちゃいます」 カナメは少し緊張しているようだ。 「ふふ、緊張しなくても大丈夫ですよ！あの方たちはFlocke mignonのスタッフの方たちみたいです。」 3人はお茶を持って、応接室へと向かった。 「お茶どうぞ、、！」 カナメはまだ緊張してるのか少し声が上擦っている。 「実は皆でチョコ作ってきたので騎士団の皆さんに食べて欲しいなぁって思って….」 六花が、話すし始める。 「昨日、カフェでチョコ作りイベントをしてたんです！ 沢山作ったので、いつも街の安全のために動いてくださってる皆さんに食べて欲しくて！」 翠もまた、話を続ける。 「そのイベントに、ヤヨイさんもいらっしゃってたんですけど、今日はいないんですかね？」 ふと疑問に思った、珀が問いかける。 「ヤヨイさんは、なんでも超大事な用があるので出かけます！！と言ったきり帰ってこないのでどこかにいると思いますよ」 シズは、微笑む。 「騎士団の皆様かっこいい女性過ぎて憧れちゃいます、、！皆で作ったチョコ食べてくださいね？」 瑠愛もまた、チョコのことを伝える。 「え！！！？いいんですか！？ 当たり前のことしてるだけなのにこんなご褒美貰っちゃって、、レイさん！今食べません？？」 カナメはどこか興奮している様子だ。 「カナメさん、シズさん、実は私からもあります、チョコ！ 昨日のイベント実は参加してて、今日も皆さんが来ること事前に聞いてたんですよ！内緒にしたくて驚かせちゃってすいません。」 レイもチョコを2人に渡した。 「せっかくだから皆さんで今から食べましょうか！」 レイの提案にみな頷き、騎士団はいつもより明るい声が混じって楽しい雰囲気に包まれていた。

チョコを作った人達はそれぞれ、1番にチョコを渡したい相手の所へ向かった、 莉生は、沙耶の元へと向かった。 「沙耶ちゃん、ハッピーバレンタイン！昨日ね、一生懸命作ったんだ！ 開店準備からすごく長い付き合いだから1番に渡したいと思って。」 莉生は、可愛くラッピングされた箱を沙耶に手渡す。 「莉生、、ありがとう！ 嬉しい。大事に食べるわね。 お返し楽しみにしてて？」 沙耶は箱を受け取り、本当に嬉しそうに微笑んだ。 「えへへ、沙耶ちゃんにはいつもお世話になってるから！そのお礼も込めて！」 莉生は喜んで貰えたのが嬉しいのか少し浮き足立っていた。 「せっかく家まで来てくれたんだし、上がっていく？」 沙耶の提案に莉生は頷き、沙耶の家と上がっていった。 ヤヨイは、、何故か王宮の周りをウロウロ、きょろきょろして誰かを探しているようだ。 「どうしたの？誰か探してる？」 ヤヨイは急に声をかけられびっくりしていた。 「あなたを！！！探してたんです！！」 ヤヨイは菖蒲に向かって大きい声で話す。 「え！？ えーと？ごめんなさい、どっかで会いましたっけ？？」 菖蒲はヤヨイの大声に驚きつつも、記憶を辿りながら尋ねる。 「いえ！はじめましてです！ 実は、楚和華ちゃんの審査の日私も、あの会場にいて、いや！！可愛い女の子が集まるから見に行ったとかじゃないんですよ！？ そ、それで、合格した菖蒲を見た時から可愛くて大好きになっちゃってチョコを渡しに来たんです！！」 盛大な告白をしながらも自分の可愛い子大好きな癖も暴露をしてしまうヤヨイ。 「あ、ありがとう？？ これ貰ってもいいの？ 」 戸惑いながらもチョコを受け取ろうとする菖蒲。 「はい！！精一杯作ったので、食べてください。急に失礼しました！！では！」 「あ！！待って！」 ヤヨイは、嵐のように去っていこうとしたので菖蒲は呼び止めた。 「私、これ今食べたいな〜！一緒に食べる相手が今居なくって、飲み物も用意するから一緒に食べない？」 菖蒲はヤヨイを誘った。 ヤヨイはそれに頷き、2人は王宮で素敵なスイーツタイムを楽しんだのだった。 彩晴と、灯火は出勤時にチョコをもってきた。 「え！？今日ルーチェちゃんお休みなんだ？？ そっかそっかー！チョコ渡そうと思ったんだけど残念。」 彩晴は出勤時にシフトを見ながら、大きめの独り言を呟く。 そこへ、杏姫が出勤してきた。 「杏姫ちゃんってチョコ好き〜？」 彩晴はすっかり仲良くなった杏姫に、問いかける。 「チョコすっごく好き！ 今日バレンタインだもんね！もしかして作ってくれたの〜？」 冗談混じりに杏姫は彩晴へ話す。 「じゃ〜ん！実は昨日チョコ作ったんだ〜！ね？灯火ちゃんも一緒に作ったんだよ！」 彩晴はラッピングされた箱を、杏姫に見せる。灯火も、チョコをバッグへ取りに行く。 「そう！実は、昨日カフェでイベントやっててそこで作ったんだ！ 見た目も味も自信あるから食べてね？」 灯火は、可愛く首を傾げながら杏姫に渡す。 「え！？2人ともありがとう、、！手作りとかなかなか貰う機会ないから嬉しいよぉぉ。」 まさかの手作りチョコに喜ぶ杏姫。 「杏姫ちゃん喜んでくれてよかった！」 彩晴も嬉しそうだ。 3人はこれから仕事だが心は温かい気持ちになったのだった。

バレンタイン直前に、ベーカリー＆カフェ「Flocke mignon」の中は忙しそうにしていた。 2月13日は休業し、何やら中でたくさんの人が集まっているようだ。 Flocke mignonのスタッフである、珀、瑠愛、六花、翠は、バレンタインチョコ作りをカフェで体験！というイベントを開催することにし、午前は準備、午後に体験参加者が集合することとなった。 体験参加者は、ヤヨイ、莉生、灯火、彩晴、レイの5人。 六花、珀ペアで、ヤヨイ、莉生、灯火へ教えることになった。 瑠愛、翠ペアで、彩晴、レイを教えることになったのだった。 翠、瑠愛チームはチョコレートを使ったパンを作ることになり、みんなで作りながら話をしている。 「みなさんどなたかあげる人いるんですか〜？」 翠は、問いかける。 「私実は貰うことが多かったので、作ったことがあんまりなくて、、今年は作ってみようと思ってたところにこのイベント見かけてきゃいました。」 レイは少し照れくさそうに告げる。 「私は、街の仲良しさんに配り歩こうって思ってるんですよね〜！」 彩晴は、笑顔でそう話す。 「え〜！お2人とも本命とか渡さないですか！？ 」 瑠愛は可愛らしく頭を傾げながら問いかける。 「本命とかいないですよ〜！」 とレイ。 「わ、私も本命とかないなぁ〜！」 と、どこか明後日の方角を向きながら答える彩晴。 なんとなく、察した翠が話題をそらす。 「本命とか関係なく、チョコで街が溢れる日って楽しいですよね〜！」 「あ、翠ちゃん！恋バナしようよ〜」 と残念そうな瑠愛。 そんな話をしているうちに、もう焼くところまでチョコを使ったパンは進んでいた。 チョコは、あと乗せにするのか、 一旦冷蔵庫で冷やすことにした。 「はーい、じゃあパン焼きますよ〜！」 翠の一言で、みんな自分の型どったパンを並べ、オーブンへ向かった。 一方、珀、六花チームは、 Theチョコというように、トリュフや生チョコを作ることになった。 「チョコを作る時に大事なのは、水分が入らないようにってことをしっかり徹底すると失敗しにくくなります！」 珀は、説明をしながらバターやチョコを小さく切っていく。 「うんうん、生チョコとかは生クリームのパーセントも高い方がいいんだよ〜！」 六花は珀に続いて話す。 2人の説明にうんうんと頷く3人。 どうやらこちらも誰にチョコを渡すのかという話題になっているようだ。 「私は〜、Rossetto Magicoのみんなの分と、色々かなぁ。」 莉生は、誰にあげるか思い浮かべながら話す。 「いや〜、チョコ作るところでも可愛い女の子と一緒に作れたりしちゃって、最高ですね！！ 私は可愛い女の子みんなに作って皆とお近付きに….もちろん騎士𝓙𝓮𝓾𝓷𝓮 𝓒𝓱𝓮𝓿𝓪𝓵𝓲𝓮𝓻の皆にもあげちゃいます。」 ふふふっと言いながらヤヨイは答える。 少し変わった子なんだなぁと、みんなはヤヨイを見ながらにっこりする。 「私は、Chouchouの皆さんはもちろん、仲良くさせてもらってる子にもあげようと思ってます。」 灯火も微笑みながら答えた。 そんな話に花を咲かせながら、チョコとバターを切り終えた。 溶かしたチョコたちを冷蔵庫で冷やし、最後にココアパウダーをかけたり、形成したりして作成を終えた。 どちらのチームも各々が持ってきた可愛いラッピングにチョコを入れ、完成した。 イベントは大成功で、みんな素敵なものを作れて満足と言った顔で帰って行った。 明日、彼女達は誰にチョコを渡すのだろう….

段々と噴水広場には人が集まってきて、楚和華はわくわくした様子で集まってきた人々を見る。 「わぁーたくさん人がいるね！ 杏姫ちゃんも、シズちゃんもみてみて！」 来てくれた人に手を振りながら、笑顔になる楚和華。一方、シズと杏姫は緊張で固まってしまっていた。 それもそうだ、場馴れしてないことや、突然決まった歌唱に緊張しないわけもない。 「楚和華ちゃん楽しそうですね、、！ 私なんて緊張で足も手もガクガクですよ。」 苦笑いしながらシズは楚和華へ話す。 「私も緊張しちゃって、、楚和華ちゃん楽しそう！」 杏姫は緊張しつつも、楽しそうな楚和華を見て少し微笑む。 「2人とも緊張してがちがちだね！ せっかくのライブなんだから楽しまなきゃもったいなくない？？」 楚和華は2人を励まそうとしてるのか、ほんとにもったいないと思ってるのか2人へ声をかける。 「うん！たしかにそうだよね！ せっかくの楚和華ちゃんとのステージ楽しむよ！」 杏姫は元気を貰ったのか楚和華へ笑顔を見せ、準備万端といった様子だ。 「そ、そうですよね。私もせっかくの機会なので、楽しみたいと思います」 緊張してがちがちだったシズも元気になり、準備OKのようだ。 その様子を見て満足気な楚和華。 「よし、歌おうか！ 曲は 39みゅーじっく！ 2人とも、いくよーー！」 楚和華は掛け声とともにギターを弾き始める。3人のユニゾンから始まり、楚和華はハモリを歌いながら3人は完璧に歌いこなした。 歌い終わった広場には盛大な拍手が響き渡る。3人は輝きに満ちた笑顔で「ありがとう！」と伝えた。ライブは大成功だった。 「楚和華ちゃん、あの私実は今日誕生日で、、楚和華ちゃんと一緒にライブできて私には最高のプレゼントになりました！ 誘ってくれてありがとうございます！」 シズは楚和華へお礼を伝えた。 「えー！誕生日なの！？ なんか巻き込んじゃってごめんね！ これ、お詫びといってはなんだけど、私のギターのミニチュアのグッズが 売ってて面白いから買っちゃったんだけど、誕生日ならシズちゃんにあげるよ！」 楚和華は、シズにプレゼントとして渡す。 「え！？ありがとうございます！！！大切にします、、、。」 シズは嬉しそうにそのプレゼントを握りしめた。サイズは両手に乗るくらいの小さめのサイズだった。 ライブを終え、3人は別々に帰路へと着く。 シズは貰ったプレゼントが相当嬉しかったのか、翌日の出勤時に騎士団へともっていき、休憩室に飾ったそうだ。

カナメの配慮で誕生日にお休みを貰ったシズは、楚和華によるライブを見るために、噴水広場へと向かった。 そこには、歌の準備のためにギターを広げている女性と、傍で会話をしている女性がいた。 あの子楚和華ちゃんと仲良しなのかなぁ、羨ましい、、、。と思いながらその光景を見つめるシズ。 「楚和華ちゃん、今日ライブやるって聞いたから見に来ちゃった〜！ ライブは他にメンバー居るの？」 杏姫は、きょろきょろ周りを見ながら質問する。 「うん、1人じゃないよ！ 杏姫ちゃんも一緒に歌おっか？ あとは〜この集まってくれてる人の中から1人、選ぼうかなって思ってるんだよね〜」 突拍子もない発言をする楚和華。 「えええ！？私には無理だよ、、、。 楚和華ちゃんの足引っ張っちゃうよ」 と焦る杏姫。 「大丈夫だって〜！ あとは、、うーーん、あ！！」 楚和華は、辺りを見て一人の女性に目が止まり、その子の方へ向かう。 シズは、どこで見ようかなぁとウロウロし、ちょうど前に人が居なくて見やすそうなところを発見しそこに座っていた。 はじまるまで時間があるので、スマホを眺めながら待っているシズ。 「ねぇねぇ！ 」 誰かが、話しかける声がするが、知っている声ではなかったので自分ではないと思い、特に顔をあげずにスマホを眺め続けるシズ。 「ねー！聞こえてる？？」 シズの目の前にしゃがみこんでこちらを見ている楚和華。 「あ、やっとこっちみた！ ねぇ、今からあなたと、あそこにいる赤い髪の子と3人で歌おうと思ってるんだけどいーい？」 良いか聞いてはいるが、ほぼ決定のようにニコニコしている楚和華。 「え！？！？私ですか！？ 足引っ張っちゃいますよ、、、」 「もー、杏姫ちゃんも、あなたも同じこと言うんだねー！ 大丈夫。みんな知ってる曲持ってきたから。ところであなたの名前は？？」 「私はシズです。 い、いいんですか？ 楚和華ちゃんと歌えるなんて夢みたいです！」 シズは一緒に歌うことにし、楚和華のあとをついていく。杏姫の待つ広場の真ん中に到着し、楚和華は2人へ歌詞の紙を渡す。 「杏姫ちゃん！この子シズちゃんって言うの、さっき声掛けて一緒に歌うことになったんだ〜」 楚和華の自由奔放さにはびっくりするが、嫌な気持ちにはならない。何より、憧れの楚和華から誘われるなんて嬉しいことでもあるのだから。 「あ、シズさん。初めまして、杏姫です。急に誘われてびっくりしちゃいましたね！ でも楚和華ちゃんと、歌えるなんて楽しそうだからちょっと嬉しいかもって思ってます。」 杏姫は、首を傾げながら困りながらも嬉しそうに笑っている。 「杏姫さん、初めまして！私はシズです。まさか声掛けて貰えるなんて思ってなくてびっくりしちゃったんですけど、せっかくなら楽しみましょうね！」 シズは杏姫に挨拶を交わし、歌詞を見る。 杏姫も、歌詞を見ると、2人とも知っている曲のようで、自分の担当パートも問題なく歌えることが分かった。

「わーーーー！パーティってもう終わっちゃった、、？」 莉生はクリスマスのパーティ会場に遅れて到着した。 「莉生ちゃん！！ よかったぁまだギリギリ続いてるよ！莉生ちゃん、、家からその格好でここまで来たの！？」 珀は莉生見て少しびっくりしたように問いかける。 「うん、時間なくてこのまま来ちゃった！」 莉生は可愛いサンタの格好をしながら手には袋を抱えてやってきた。 珀と莉生は、サンタの袋を広げ子供たちに声をかける。 「じゃー、サンタさんからのプレゼントが欲しい子はこっちおいでー！」 莉生の掛け声に反応した子供たちは笑顔で寄ってくる。 「わわわ！順番だよー？ はい、メリークリスマス！ 皆で仲良く食べてね！」 珀は子供たちの勢いにびっくりした様子だが、笑顔でプレゼントを渡していく。 可愛くラッピングされたお菓子を子供たちに配る2人。子供たちは嬉しそうにプレゼントを手に握りしめ、会場を後にし、パーティは成功を収めたのだった。

お菓子の買い出しに行く沙耶に、一緒に行くと着いてきた瑠愛。 「瑠愛ちゃん、なんのお菓子にしようかしらね？」 買い物の道中に、話を振る沙耶。 「うーん。やっぱりチョコかなぁ、、」 悩みながら答える瑠愛。 「瑠愛ちゃん、ほら見て！ここの通りイルミネーションすごく綺麗よ」 買い物の途中の大通りは、綺麗にイルミネーションされ、立ち止まって写真を撮る人もチラホラ。 「わぁほんとだぁ！ 沙耶さん、一緒に写真撮りませんか？」 瑠愛はスマホを取り出しながら沙耶に聞く。 「いいわよ？ 」 「えへへ、やったぁ！」 瑠愛の掛け声で写真を撮った2人は、買い物を済ませ、帰り道でも綺麗なイルミネーションを見ながら、パーティ会場へと戻って行った。

子供たちと一緒のクリスマスパーティが開催されることになり、準備する要員としてルーチェ、珀、瑠愛、沙耶の4人が参加した。 沙耶と瑠愛は買い物に行くことになり2人で出かけに行っている間、ルーチェと珀は飾り付けや会場の準備をすることにした。 パーティが始まると子供たちは、楽しそうに大はしゃぎし、それに混ざって子供のようにはしゃぐ珀。それを見て微笑むルーチェと沙耶。食べ物に夢中な瑠愛。 4人は楽しいパーティを過ごすことになった。 珀は途中からサンタさんの格好になり、後から合流する莉生の到着を待っている。 2人がサンタさんの格好をして何をするかはまた別のお話。

出勤時、カナメは今月の勤務シフトを確認していた。 「うーん？これじゃダメでしょ。こーしてこーしてっと、、。」 何やらシフトをいじっているようだ。 「おはようございます〜」 レイとシズが到着する。 「あ！おはようございます！」 2人に挨拶をし、先程いじっていた新しいシフト表を渡す。 2人は、ん？という顔をしながら受け取り、シフト表の中身を確認する。 「今月の残りのシフト少し弄らせてもらいました！ レイさんは休み少なすぎなので増やしましたし、シズさんも誕生日にシフトは入れずに休んでください、、、。」 新しいシフト表を見せながら、カナメは2人に伝える。 レイはカナメの指摘がごもっともすぎて、何も言えずにしている。 「そうですよ！ 今月もあと少しで終わるってとこまできてますけど、まだレイさん1日しかお休みしてないんですから。もっとご自身をお大事にしてくださいね？」 シズも働き詰めのレイを心配しているようだ。 「そういうシズさんも！ 誕生日くらいは仕事お休みにして、ゆっくりしてくださいね、、？」 シズにも休むように伝えるカナメ。 「今年の誕生日、予定もなかったしそれなら仕事しようかなって思ってたんですよね」 えへへ、と笑うシズ。 「休んでくださいね？」 「じゃあ、誕生日の日たまには外出でもしようかな？とい思います。カナメさんありがとうございます！」 シズはカナメの優しさに素直に甘えることにした。 レイもそのやり取りを見て、カナメの好意に甘えることにして、休みを承諾した。 最初にカナメが作成してくれたシフト表だと、カナメの休みがほとんどなくて、人のこと言えないですよ！！やらなんやらのやり取りが繰り広げられ、ちゃんとみんな平等に休みを取るように話し合いながら決めた。 「カナメちゃん、ありがとう。一番先輩だし、頑張らなきゃって気を張ってたんだけど、2人ともすごい頼りがいあるし、これからはちゃんと頼りにさせてもらうね？」 レイはなんだか少しだけ肩の荷が降りたのか、安心して微笑んでいる。 「じゃあ、今日も元気に街のパトロール、しますか！」 レイの掛け声で、それぞれの持ち場につき一日を終えた。 次の日。 今日は、カナメ1人の出勤なので、漏れがないように朝のチェックをしていた。 午前中は、噴水広場をまわって1度戻ってきて休憩を撮ってから午後はお店のある通りのパトロールのスケジュールだ。 問題なく午前のパトロールを終え、休憩しようと騎士団へと戻ってきたカナメ。 休憩室の明かりが付いてるのを見て、消し忘れてしまったことに焦りながら向かう。 すると、 「あ、カナメちゃんおかえりー！」 と、レイとシズがいた。 「2人ともお休みじゃなかったでしたっけ！？」 カナメはまさかの事態に驚いている。 「カナメさん1人で寂しくしてないかな？って思って飲み物買ってきちゃいました！」 と、シズの手にはコンビニの袋が。 「シズちゃん考えることは一緒だなって思っちゃった。私は、休憩の時にでもって思ってお菓子買ってきちゃった。」 と、レイの手にもコンビニの袋。 「お2人とも打ち合わせでもしたんですか？」 と、笑いながら言うカナメ。 「休みとはいえ、なんだかんだここが好きで来ちゃったんですよね〜」 シズは悪びれもなく笑いながら答える。 「私も。 あとはみんないた方が楽しいじゃない？」 ほら？と言いたげなレイ。 休みだからもちろん仕事はしないが、賑やかなのも楽しいなとカナメは思った。 「あ、そうそう！私の誕生日、噴水広場で王宮の方がライブやるって言うので見に行こうと思ってるんです〜！」 シズはわくわくした様子で、話す。 「おお！私達も、パトロールついでに覗いちゃいますか？」 とカナメも少し楽しそう。 「いいね！ ライブの時間に合わせて噴水広場パトロールしよっか！」 騎士団のメンバーは、ここが居場所だと言わんばかりに絆が深まっている。 休みの日でも、集まってしまうなんて、素敵なところに勤められたなとレイはしみじみとした。 1人の頃は心細かった騎士の仕事も、人数がいるとこんなにも違うんだなと実感したのだった。

ドレスを買いに行く当日。 店は休みなので、華純、沙耶、莉生は集合し、お店に向かっている。 ｢華純さん、この前はすいませんでした変な空気にしちゃって、、、。｣ 莉生は華純に謝った。 ｢いえいえ！ 莉生ちゃんのみんなで買い物行きたかったのにって気持ちも伝わってきたから、大丈夫よ？｣ 華純は莉生に微笑む。 ｢今日は、華純さんにドレス選んでもらいたいと思ってたんです｣ と沙耶は華純にお願いする。 ｢え！私？？ 大丈夫かなぁ。 あんまり期待しないでね？｣ 華純は照れくさそうに微笑んだ。 華純はいつもお洒落な服で出勤もしていて、今日の買い物の服もすごくオシャレだ。 「華純さんオシャレですごく好きだし、選んで貰えたらすっごく嬉しいです！」 莉生は嬉しそうにルンルンしている。 お店につき、3人はドレスコーナーを見て回る。 「あ、このドレス良さげだね〜？ 莉生ちゃんこっちきてー！」 華純は莉生にドレスをあて、うんうんと頷く。 「わー！可愛い！やっぱり華純さんが選ぶのオシャレでいいなぁ。」 莉生はもう決めたようで、華純に勧められたドレスを持ちながら店内を見て回る。 「沙耶ちゃん！これ華純さんが選んでくれたんだけどどうかなー！」 莉生は沙耶に話しかける。 「可愛い。莉生にすごく似合ってるわよ？」 沙耶は莉生に微笑む。 華純は、沙耶のドレスと自分のドレスも選び終わりいざレジへと向かっている時、莉生が華純にお願いをする。 「華純さん、1個お願いがあって、、、」 莉生は少しだけ申し訳ない顔をしながら、華純へそのおねがいを告げる。 「ふふ、そんなのもちろんよ。ちょっと待っててね？」 3人は買い物を終え、店舗で店長業務に追われている晶羽のところへと向かった。 店に到着し、店の入口で中々入ろうとしない莉生。 「ほら、莉生？晶羽さんにちゃんと謝るんでしょ？」 沙耶は莉生を元気づけるように話しかける。 「う、うん。」 カラン〜♬.*ﾟ 突然扉があいて、驚いた晶羽は、入口まできた。 「あら？みんなどうしたの？？」 「あ、あきはさん！！！この前はほんとにすいませんでした。みんなでいけると思って楽しみにしてたらやっぱり行けないってなって、悲しくてつい、怒ってしまいました。」 莉生は、心配そうに晶羽を見つめる。 「ふふふ、良いわよ？ こちらこそ、莉生ちゃんが楽しみにしてたのを察せずに、断っちゃってごめんなさい。」 2人が仲直りしてる様子を、微笑ましい様子で見つめる華純と沙耶。 「莉生ちゃん？ あれは？？」 華純が莉生に問いかける。 「あっ！！そうだった。晶羽さん！ これ、私たち3人からの誕生日プレゼントです！ 」 莉生はラッピングされた袋を渡す。 「え！？ みんなありがとう！」 晶羽は喜んでいる。 早速袋を開けて中身を確認する。 「え！！？ これってドレス？？ 買いに行く時間無くて、スーツで参加するしかないって諦めてたからすっごく嬉しいわ！ 」 晶羽は、すごく喜んでいる。 「晶羽さんもほんとは行きたかったんですね、、」 華純は、小さく呟く。 「これ着て明日の表彰式参加するわ！」 嬉しそうにドレスを抱きしめる晶羽。 喜ぶ晶羽を見て、3人は温かい気持ちになった。 そして4人は、新調したドレスを身にまとい表彰式に参加したのだった。

｢来週、表彰式があるらしいから、皆綺麗な装い用意しておいてね。｣ 晶羽は、業務終わりのメンバーに伝える。 ｢わぁ！なんの表彰式だろう！ 沙耶ちゃん、楽しみだねー！服どうしようかなぁ。｣ 莉生は、わくわくした様子で沙耶に話しかける。 ｢全店での10月〜12月の売上優秀店の発表らしいわね｣ と沙耶。 ｢全店舗が呼ばれてるみたいだから、うちも選出されたらいいわね｣ と華純も反応する。 ｢事前にドレスとか買ってみんなでオシャレしたいわね？ 莉生も華純さんも晶羽さんも、皆で買いに行きませんか？ ちょうど表彰式前日は店舗お休みですし！｣ と沙耶が、みんなに提案する。 ｢沙耶ちゃんそれいい！ 今どこも年末セールで少し安くなってるし、みんなで行きたい！｣ 莉生は華純と晶羽を、みてどう？どう？と言った顔をしている。 ｢良いですね！ 私も新しいの欲しいと思ってたし、行こうかな？ 晶羽さんはどうします？｣ 華純も乗り気のようで、晶羽にも意見を聞く。 ｢私は、そうね、前日も仕事溜まっちゃって買いに行く時間ないし、店長だからスーツでもいいかな？って思ってるのよね｣ と晶羽は告げる。 ｢そうなんですか？ せっかくの表彰式ですし、みんなでドレスにしません？｣ 華純は、少し残念そうに晶羽に問いかける。 それでも晶羽の答えはＮＯだった。 ｢みんなでドレス着たかったのになぁ、、 晶羽さん、やっぱり買いに行きませんか！？｣ と莉生は食い下がる。 ｢まぁまぁ、莉生、無理して買いに行くものでもないから、ね？｣ 沙耶は莉生をさとす。 ｢りおちゃん、気持ちはすごく嬉しいんだけど、どうしても店長業務が残ってるから一緒には行けないの。ごめんね？｣ と晶羽は、莉生に謝る。 ｢もー晶羽さんなんて、知らない！ みんなで買い物して、みんなでドレス選びたかっただけのに！｣ 莉生は、怒って帰ってしまった。 それを追うように沙耶も帰る。 ｢晶羽さん、莉生には私からも話してみますので、、、！｣ 少しだけ気まずい空気感の中、 華純と晶羽も帰ることにした。 タッタッタッタッタ。 ｢りーお！ どうしたの？らしくないよ？｣ 沙耶は珍しく感情を剥き出しの莉生に話を聞く。 ｢沙耶ちゃぁぁん 。 晶羽さんに酷いこと言っちゃったぁ。 みんなで買い物とか想像しただけで楽しいし、行く気満々だったのに、行けないって言われて、なんだか私たちと行きたくないのかなって思っちゃって、、 晶羽さんがそんなこと思うわけないのに。。｣ 莉生は、涙目になりながら沙耶に訴えかける。 ｢そうね、莉生、凄く楽しみってもうわくわくしてたものね。 ねぇ莉生、仲直りにとっておきの方法思いついちゃったんだけどね、、｣

｢ルーチェちゃん〜！ 彩晴さん、歌のコンテスト参加したいって！！｣ 杏姫は、嬉しそうに開店準備中のルーチェに駆け寄る。 ｢え！彩晴さんほんとですか？？ 嬉しいですー！ 詳しい話したいとこなんですけど、お店始まっちゃうので、また後でお話しましよう〜｣ ルーチェの言葉にみんな、頷き お客様を迎える準備を始める。 ーーーー。 1日の業務を終え、歌のコンテストの詳細を話す3人。 課題曲は｢シャナ｣ ｢私この曲知ってるんで、ハモリとか入れちゃってもいいですか！？｣ と彩晴はやる気満々のようだ。 ｢ぜひぜひ！お願いします！ ｣ みんなの歌うパートも決まり、録音出来たらデータをルーチェに送るという流れになった。 ルーチェはみんなのサウンドを重ね、音源も完成した。完成した音源を聞いた3人は、満足気に頷いている。 ｢めっちゃいい！ルーチェちゃん重ねる上手いね！ みんなの声がいい具合に混ざっててユニゾンとかも綺麗だし、彩晴さんのハモリもすごく綺麗！｣ 杏姫は完成音源を聞いて興奮冷めやまないという様子だ。 ｢じゃあこれ、本社に送っちゃいますね！｣ ルーチェはサウンドのデータを本社へ送った。 ｢結果は3日後らしいので楽しみですねー！｣ 彩晴もわくわくそわそわしながら言う。 ーーーー3日後の朝 ｢あ！本社からのお知らせが来てますよー！｣ ルーチェは2人に声をかける。 ｢はー。クリックするの緊張するなぁ。｣ ルーチェは緊張してなかなか、結果を見ようとしない。 ｢じゃー私が押しちゃいます！ ぽちっと！｣ 彩晴が躊躇なく、クリックした。 ｢わぁーーーー！？ 私たちのが最優秀賞だ！！！？ 今日から店で流れるって書いてある｣ 杏姫は嬉しそうにジャンプしている。 ｢よかったぁ。嬉しいですね！！ 少し恥ずかしい部分もあるけど。｣ ルーチェは嬉しいと恥ずかしいの両方の感情があるようだ。 ｢やったーー！みんな最高だったからとれるって確信してましたよー！？私！｣ と、彩晴は自信満々に言っている。 3人はウキウキしているが今日も仕事だ。 ｢よし！切り替えて仕事頑張りましょうか！｣ ルーチェの一言で3人は仕事モードに切りかえた。 来店しているお客さんが3人の｢シャナ｣に気づき、これ本家じゃないけど、すっごく綺麗〜！という言葉を発しながら買い物をしている様子を見かけ、それもまた3人のモチベに繋がったのだ。

朝、店の準備をしているルーチェと、杏姫。 ルーチェはパソコンでの、本社からのお知らせを開く。 ｢あれー？なんだろうこのお知らせ。｣ ルーチェがお知らせを見ながらつぶやく。 ルーチェの声に反応して、杏姫はパソコンを覗きにくる。 ｢え！社内での歌のコンテスト！？ 楽しそうだなぁ。最優秀賞は、店内のBGMとしても流れるって書いてある！｣ 杏姫はお知らせを見て胸を踊らせる。 ｢あ、でも参加条件は3名以上ってなってるね。灯火さん今入院中だから難しいね？｣ ルーチェは残念そうに、杏姫に告げる。杏姫もそれを聞いて少し気分が落ち込んだ。 ｢こればっかりはしょうがないですね！ 灯火さん早く退院出来るといいな〜。 あれ？？この人事異動のメールって開きました？？｣ 杏姫は、未読になってるメールを発見した。 ｢あ！これ、今度見よって思って忘れてた。12月18日にウチの店に1人異動で来るって書いてあるけど、今日だ！？ 結構前に来てたから忘れてたよーー。｣ ルーチェはやってしまったぁという表情をしながら、異動で来る子への準備を始める。 ｢おはようございます！ 今日から異動でやってきた、彩晴（イロハ）です！ よろしくお願いします。｣ 準備をしていたところで彩晴も到着し、急いで作ったネームプレートを渡すルーチェ。 ルーチェと杏姫も自己紹介を済まし、店内の案内は杏姫がすることになった。 ｢ここが休憩室です。冷蔵庫とかは自由に使ってもらって大丈夫です！｣ ｢ありがとうございますー！ 飲み物早速入れちゃお！ あ、そういえば本社から発信されてたお知らせ見ました！？ 歌のコンテスト！！ 私あれ出たかったんだけど、異動もあるから出れないんですよねー残念。｣ 彩晴はさっきルーチェと杏姫が話していた歌のコンテストの話をしてきたのだった。 ｢え！？彩晴さんも出たいって思ってたんですか！？ 3人いないから無理だね〜って諦めてたので、彩晴さんさえ良ければ3人で挑戦しませんか？｣ 思いがけない、彩晴の言葉に杏姫は嬉しくなり誘ってみた。 ｢えー！是非ぜひ！やりたい！嬉しい〜｣ 彩晴も嬉しそうだ。 ｢じゃあ、ちょっとルーチェちゃんにもその件伝えてきます！！｣ 杏姫は背中に羽でも生えているのかというくらい身軽に、ルーチェの元へと向かった。

｢あれー？私の名前なんで知ってるの？？ってかなんでバレたんだろ〜｣ と不思議そうな楚和華。 それもそのはず、一切変装もせずに堂々と買い物に来ているので、バレないわけもなかった。 ｢楚和華さん、バレますよー！ 皆の憧れなんですよ！？ 知らない人の方が珍しいです。 でも変装しないで危ない人に絡まれたら心配なので、次から返送してくださいね？｣ と瑠愛は楚和華に諭すように話す。 ｢えへへ、バレてもダッシュしちゃうから大丈夫〜！｣ 悪びれる様子のない、楚和華をみて 自然と笑顔になる珀と瑠愛。 すると、奥から店長が歩いてくる ｢はくちゃん、るあちゃーん！ 上がりの時間よー！ ってあら？ その子は知り合い？ せっかくだから3人でそこのカフェスペースで食べていきなさい？｣ 店長の好意で、3人はカフェで食事をすることにした。珀と瑠愛が制服から着替え、席に向かうと、楚和華は嬉しそうにカフェのメニューを眺めながら座っていた。 ｢ねぇねぇ！2人とも何好きなの？ 私はこのケーキかな〜｣ とメニューを指差す楚和華。 ｢そのケーキにカフェラテすっごくおすすめなので是非！｣ と珀が勧める。 ｢私は、ほうじ茶ラテのアイスと、イカとエビのトマトパスタにしようかな〜｣ と瑠愛はメニューを見ながら呟く。 ｢じゃあ、私はオムライスと、抹茶ラテにする！ 楚和華さんカフェラテで大丈夫ですか？？｣ 珀は楚和華に確認をし、楚和華は頷く。 ｢店長〜！ ｣ と珀がみんなの料理を注文し、 3人は今日の気分と明日の気分がどうして変わるんだろうねという答えのない議論をしながら時間を過ごしたのだった。

いつも通り忙しく大変なパン屋ではあるが、瑠愛と珀は常に笑顔で接客をしている。 今日は2人ともレジの担当のようで、お客さんの波が引いた時にはたまに会話をしている。 少し前から1人の女性が、うーん？うーん？と言いながらパンを眺めていた。 その様子をみた瑠愛はレジから出て声をかける。 ｢なにかお探しですか？良ければ一緒に探しますよ。｣ 悩んでいた女性は楚和華で、瑠愛は楚和華であることにその場で気づいた。なにせ、Royal Palaceは女子のあこがれだから、気づかないわけがなかった。 楚和華は話しかけてくれた瑠愛に困った様子で問う。 ｢ここのパン全部美味しくて好きなんだけど、明日の朝 自分の気分はどのパンになるのかなーって悩んでて。｣ パンをたくさん抱えながら迷っている楚和華。珀はレジをしながらも変わった悩みをする子だなぁと感じている様子だ。 ｢私も、今日の気分はこれだけど明日になったら違うかも？とか思ってすごく悩んじゃう時間あるので気持ちすごく分かりますよ｣ と共感をする瑠愛。 ｢ですよねー！？ でも結局今食べたいの買って、朝になったら気分じゃないなんてこともしばしば ｣ と、盛り上がる2人。 瑠愛は一通りパンの説明を終え、一度レジに戻ってきた。 ｢あの子雰囲気とっても素敵だよね！？｣ と珀は瑠愛に小声で話す。 ｢珀ちゃん、あの子楚和華ちゃんだよ！この前王宮で新メンバー審査もしてた子！｣ 珀は突然の楚和華の名前にびっくりし、 ｢楚和華ちゃん！？！？｣ とつい大きい声を出す。 その声に反応するように楚和華は2人を見る。

その楽しそな女性は、自分の審査はまだかまだかとわくわくしているように見える。 他の候補者たちの審査も、しっかりと見ており自分のことだけで精一杯になっていないのもまた魅力的だ。 「あの子の審査いつなんだろう。」 楚和華は独り言のように呟き、審査員用の審査順の紙を見るが、名前しか書いてないその紙を見ても何も分からなかった。 まだ順番がまわってきそうもなかったので、会場にある飲み物やスイーツを頂くことにした。 審査会とは称しているものの、楚和華の誕生日のプレゼントではあるので、会場に並んでいる飲み物やスイーツはどれも楚和華の好きな物ばかりだ。 なんで自分の好きな物がいっぱいなんだろう？って不思議な気持ちになりながらも、どことなく嬉しそうな楚和華。 「はい！ 調月 菖蒲です！ 何よりも楽しむことを大事に過ごしてきてますし、これからも楽しむをモットーに過ごしていきたいと思ってます。」 突然、元気な声が会場に響く。 楚和華は、わくわくした表情で菖蒲を見つめる。そして、披露した自己PRは歌だった。歌が好きな楚和華はさらに心が踊り、鼻歌ながらハモっていることにも気づく。 他の審査員たちも心なしか、表情が緩んでいるようにも見える。 ーーーー。 もちろん、王宮へのチケットを手に入れたのは菖蒲になった。 「私、鳩条 楚和華って言います。 菖蒲さんの歌声最高でした。何よりも楽しむ姿を見て仲良くなりたいと思いました！」 楚和華は、菖蒲に声をかける。 「わあ！楚和華さんだ！？ 実は楚和華さんと仲良くなりたくて、王宮に入ったら仲良くなれるんだろうなぁってわくわくした気持ちが抑えられなかったんです。」 菖蒲は、明るい声で楚和華に返事をする。 「あれ？私の事知ってたんですか？なんだか照れるな〜。 最高の誕生日プレゼントになりました。最高の歌仲間。これからよろしく！」 楚和華は笑顔で、菖蒲に握手を求める。 「誕生日！！？ おめでとうございます！！ 最高の仲間になれるように、色々教えて下さいね！」 2人は、まるで初めて会ったとは思えないように意気投合し、楚和華は王宮内の案内に向かった。

楚和華の誕生日を迎える前のこと。 王宮で暮らす楚和華は、プレゼントも好きな物をお願いしていいことになっている。 特に欲しいものもない楚和華だったので、1つお願いをすることにした。 王宮の中で、仲間と呼べる子が居ないのがやはり寂しかった楚和華。もちろんお世話をしてくれるメイドや執事はいるが、あくまでも主従関係であり、メイドや執事は一緒にご飯も食べてくれないので、ご飯を食べて笑いあって楽しく過ごす人が欲しいとお願いしたのだ。 王宮にはたくさんの人が訪れ、自分が選ばれたい！そう思いながらも胸を踊らせる女性たちが集められた。 王宮に相応しいかを審査する人々の前で、萎縮するものや、恥ずかしがってしまい思うように全力を出せない子もいた。 「なんだか、楽しそうな子いないのかな〜」 楚和華も、もちろん審査する側として会場に潜り込み、辺りを見回す。 「あれ？ 」 楚和華は、1人の女性を見て心が踊った。 そこには、たくさんの自信のない女性たちの中で1人だけ自信があって楽しそうな女性がいたのだ。

ハロウィン当日。 ハロウィンパーティ開催は、夜の19時から。 開催時間より前に準備チームはそれぞれ集まり、最後の準備に取り掛かる。 「買ってきたお菓子ここにいれていきましょう！ 灯火ちゃん、瑠愛ちゃん、はいこれ。」 そういって沙耶が2人に手渡したのは、かぼちゃの形をしたバスケットだ。 「あ、私お菓子をひとつの袋にまとめるように、透明な袋持ってきたのでこれに詰めませんか？」 灯火は、たくさんある透明な袋を手に持ちながら2人に見せる。 「わぁ、いいですね！そしたらこの袋に、HAPPY HALLOWEENとかTrick or Treatとか書いて可愛らしくしませんか？ 」 瑠愛は、黒ペンを手に意見を出す。 「瑠愛ちゃんそれいいわね！ そしたら瑠愛ちゃんと灯火ちゃんで、文字書いてもらって、書いてくれたやつに私がお菓子詰めていくわ。」 沙耶は2人の意見に同調し、役割を分担した。 3人は順調に準備を終え、それぞれが持つように3つあるかぼちゃのバスケットは一杯になった。 一方、仮装チーム。 仮装用の服は事前に莉生が、2人にも渡していたので全員家から仮装して、会場へ到着した。 「わーーーみんなやっぱり素敵！ シズさんのヴァンパイアかっこいいし、、杏姫ちゃんのメイドさんも凄く可愛くて2人ともとっても似合ってる！」 莉生は集合した二人を見て、感動を伝える。 「莉生さんもすごく素敵ですよ。魔女がとっても似合ってます。」 シズは微笑みながら、莉生へ声をかける。 「私、こういう時の変わったメイク得意なので、やらせて下さい！」 杏姫は、沢山のメイク道具を広げてわくわくした表情で2人を見る。 早速、杏姫がハロウィンらしい特殊なメイクを2人に施す。慣れているのか手際もよく、すぐに終わった。 「じゃあ、私は皆の髪の毛整えるね？実は、レイさんの髪の毛もセットしたことあるんですよ！」 莉生はヘアセットが得意で過去に、レイにもやっていたことを、シズに伝える。 シズの髪はいつものサラサラではなく、毛先を少し遊ばせて、 杏姫はメイドらしくツインテールではなく、ストレートロングにした。そして、莉生も普段の三つ編みを下ろし、ストレートにする。 「実は皆さんの仮装に合うように、小物を買ってきたので使って貰えたら嬉しいです。」 シズは、莉生の魔女に似合うような魔法の杖 杏姫のメイドに似合うような銀色のトレー そして、シズのヴァンパイアに似合うように、肩に乗せられるコウモリの人形を買ってきた。 魔法の杖は茶色く片手に持ち歩けるもので、可愛らしい魔女のイメージにとても似合う。 銀色のトレーは、裏返して体の前にして持つとメイドらしさが増した。 コウモリは、羽が動く仕様なので生きているようにも見える。 各チームは仮装の準備も終え、お菓子配る準備も終えた。間もなくハロウィンパーティの幕が開ける。 ーーーハロウィンパーティが開始となった。 「「「「「「HAPPY HALLOWEEN」」」」」」 6人は笑顔で、来場した子供とその家族に挨拶をした。 会場内は、子供たちの「トリックオアトリート」の声があちこちで聞こえ、賑わいを見せたのだ。

一方、お菓子を配るチームは知り合いもいる中で話し合いが行われているようだ。 灯火と沙耶は以前、沙耶の誕生日の時に知り合っており、街中で出会えば会話する中にはなっていた。 「2人はお知り合いなんですね！ 私、あんまりお友達とかいないから、こうやって色んな人と関われるようなイベントがあると嬉しいです。」 瑠愛はにこにこしながら、話す。 「瑠愛さんのこと実は知ってたんですよ！ 実は、よくパン屋さんのところに買い物に行くので、見かけてたんです。 あそこ可愛い人ばっかりだなぁって幸せ空間だと思ってます！」 灯火は、パン屋での時間を思い出しながら瑠愛に話しかける。知られていたことが嬉しくて微笑む瑠愛。 「あそこのパン屋さんほんと可愛い子が多いわよね、、。 瑠愛さんもすごく可愛らしくて、似合うなぁ」 沙耶も瑠愛を見ながらにこにこしている。 「じゃあ、当日のお菓子どんなもの配るかと、どういう感じで配るか決めていきましょうか！」 灯火が、舵をとって話を進め始める。 「そうですね。お菓子はやっぱりチョコとかクッキーとか子供が好きなものがいいですよね。」 瑠愛はお菓子の種類はなにがいいかを考えながら話す。 「透明な袋にお菓子を詰合せて、かぼちゃの入れ物から一人ずつ渡すっていうのはどうかしら、、？」 沙耶は配り方についての意見を出す。 「お菓子の種類いいですね！！そしたら飴とか、マシュマロとかがあってもよろこぶかも、、！ 配り方はそれめちゃくちゃいいといと思うなぁ、、」 灯火は、2人の意見をまとめながらも自分の意見も伝える。 「じゃあお菓子の種類は、チョコ、クッキー、飴、マシュマロで、配り方は沙耶さんが言っていた通りにしましょうか！」 ボランティアに参加するだけあって、意見が積極的にでてきたのもあり、当日配るお菓子の種類と、方法が決まった。 仮装チームと、お菓子を配るチームどちらも当日を迎えるのを楽しみに残りの日を過ごすことになる。

仮装チームは、初めましての人が多く簡単な挨拶を済ませ当日の流れについてどうするかを相談しているようだ。 当日の仮装について、3人は話し合う。 「どんな仮装がいいですかね、、」 シズは、考え込む。 考え込んでいるシズを見て、莉生はどこから取りだしたのかハロウィン特集の雑誌を開きながら話す。 「私的には、3人バラバラの仮装にしたいかなって思ってます！あ！ この特集記事も見てほしいんですけど、例えばヴァンパイアとかは、シズさんに似合いそう〜とか思っちゃいました！」 シズをじーーっと見て、雑誌のヴァンパイア仮装を指す。 「あ！たしかに、シズさんヴァンパイア似合いそうです。」 杏姫も、莉生の意見に同意する。 「それで、杏姫さんは、、、このロング丈のメイドさんとかかなぁ、、？」 莉生は、今度は杏姫の顔をじーっと見ながら雑誌の仮装を指す。 「わあ、すごく似合いそうですね。莉生さんセンスがある、、！わたし的にも可愛らしい仮装よりちょっとかっこいいめの仮装がいいと思っていたのでヴァンパイアめちゃくちゃいいですね！」 シズは、莉生のセンスの良さを褒める。 自分の仮装にも同意しているようだ。 「わぁぁ、メイドさんかわいい！ これがいいです。 莉生さんありがとうございます！ ちなみに、私的には莉生さんは、この魔女かな、、？なんて思ってますけどどうでしょうか？？」 杏姫も、莉生を見つめながら仮装の提案をする。 「魔女！かわいい、、！私これにするね！そしたらみんなの分私の方で注文しておくので、当日にまた私が持ってきますね！」 莉生は、魔女の仮装にわくわくしつつ、当日を迎えるのが今から楽しみなようだ。 シズは当日どんなにメイクにしようかと心を踊らせ、杏姫はメイドさんってどんな髪型が似合うかなぁとそれぞれの仮装を楽しみにしている。3人は子供たちを楽しませるということと、自分たちが仮装して楽しむことどちらも楽しみに当日まで過ごすことになるだろう。

ハロウィンに向けて街は飾り付けがされ、子供たちは思い思いの仮装をし、お菓子を貰えることを心待ちにしている。 普段仕事をしている人々もハロウィン当日はおやすみだ。街の掲示板に貼られた掲示にて、ボランティアの募集があった。ボランティアに応募したメンバーは、子供たちにお菓子を配るチームと、子供たちと一緒に仮装をするチームに分かれることになった。 子供たちにお菓子を配るチームは、瑠愛、灯火、沙耶の3人。子供たちと一緒に仮装をするチームは、シズ、杏姫、莉生の3人。 ハロウィンイベント主催者により集められた6人は、初めましての人もいるのでそれぞれ顔合わせを含む挨拶の場が設けられた。 顔合わせをした6人は軽い挨拶を終え、それぞれのチームにて当日の詳細を詰めることにした。

レイの誕生日当日。 レイはいつも通りの時間に騎士団に到着した。鍵は既に開いていたので、どちらかが先に着いているのだろうと、レイは中に入る。 すると、ある部屋の前でシズが立っていた。 レイが来たことに気づいたシズはレイを呼ぶ。 「あっ！レイさん おはようございます！！ 今日も早いですね。」 「シズさん、おはようございます。今日はいつもより来るの早いですね？ 」 レイはシズに声をかけながら、休憩室の扉を開ける。開けた途端、中からHappyBirthday〜♬.*ﾟ の音楽が流れ始め、カナメが立っていた。 「「レイさん！ お誕生日おめでとうございます！！！ 」」 カナメとシズは、同時にお祝いの言葉を伝える。レイはお祝いしてくれたことが嬉しいのに、飾り付けられた部屋を見て更に嬉しさが増す。 「え！？ ありがとうございます。 昨日もしかして準備とかしてくれたんですか！？」 嬉しさと驚きが一緒に来ているレイ。 「カナメさんがすごく素敵な案を出してくれて、可愛く飾り付け出来ちゃいました。 ちなみにこの飾り付けの色合いは、レイさんの髪の毛と目の色をイメージしてるんですよ。」 シズは驚いているレイに飾り付けの説明を少し誇らしげにしている。 「シズさんなんだか、嬉しそうですね。でも、私もレイさんが喜んでくれてるのが伝わってきて嬉しいです。」 カナメはレイが喜んでいるのを見て自分も嬉しくなっている。 「あっ、カナメさんアレお願いします。」 シズはそういえばと、カナメに伝える。 「そうですね。忘れないうちに、、。 これ、私たち2人からのプレゼントです。開けてみてください。」 カナメはプレゼントをレイに渡す。 レイはお礼を言いながらプレゼントを受け取り、中身を確認する。 「ありがとうございます。 これ、、スピーカーですか！？」 ドライブでよく音楽を聞きながら運転しているという話を警備の巡回中に、たまたま聞いて用意したのだ。 「そうなんです。Bluetoothで繋げば好きな音楽流せますしね。」 シズはスピーカーの説明を少しだけする。 「あんまり機械強くないんですけど、Bluetoothってどうやって繋ぐんですか？」 レイはあまりやり方が分かっていなく、頭にはてなマークが浮かんでいるようだった。 「じゃあ今度、私がやり方教えますね！」 カナメはレイにやり方を教える約束をする。カナメもシズも機械には強いようで安心だ。 3人はその後もお祝いの空間を楽しんだ。いつもの巡回警備の時間になると切り替えて仕事に戻っていく。 楽しむ時は楽しむ、仕事は仕事。3人ともメリハリのある性格だった。類は友を呼ぶとはこのことを言うのだろう。

レイの誕生日前日。 なにやらカナメとシズがこそこそと騎士団内で準備をしている。 今日はレイがお休みのため、カナメがレイの誕生日をお祝いしようと計画していた。 「カナメさん！ この飾り付けここでいいんでしたっけ？」 シズは”Happy Birthday” と書かれた飾り付けを持ちながら、カナメに問いかける。 「そこで大丈夫です！ あ、あとこのお花も一緒にそこに飾り付けて貰ってもいいですか？？」 カナメはオレンジ色の花の飾り付けを、シズに手渡す。 「おっけーです。 でもよく、レイさんの誕生日、ご存知でしたね？ レイさん言ってましたっけ？」 シズはふと疑問に思い、カナメに問う。 「私の誕生日をお祝いしてくれた時に、しれっと誕生日聞いちゃったんですよ。 そしたら、誕生日近くてびっくりしたんですよね。」 カナメの誕生日のお祝いを思い出し笑顔になりつつも、答えるカナメ。 「あーなるほど！ そういえば私もカナメさんに誕生日聞かれた記憶あるような？？ 策士ですね。」 シズも自分の誕生日を聞かれたなぁと思い出し、納得する。シズは買ってきた飾り付けたちを見ながら次は、どうしようかと悩む。 「シズさん、そこの風船膨らませましょう？ 私オレンジ色の風船膨らませるので、シズさんは紫色をお願いしでもいいですか？」 カナメが、要領よく指示をくれる。 「承知です。なんか、カナメさんこういうの慣れてるんですか？ 要領良くてとても助かります。 あと、オレンジと紫ってハロウィンみたいですね？」 シズは要領のいいカナメに感心しつつ、色の組み合わせを見て思ったことを伝える。 「昔から人のお祝いとかするの好きでいつも準備してたから慣れちゃってるのかもですね？ たしかに！ハロウィンみたいですね。 レイさんの髪の毛の色と目の色をイメージしたんですが、、、」 カナメはシズから言われて、色のことに気づく。 「あ！そういえば、私今度この街で主催されるハロウィンのイベントに参加するからそれを少し思い出してしまいました。 色んなお店の人と準備するらしくて楽しみなんですよね。」 ハロウィンで思い出したシズは、もうすぐ開催されるハロウィンイベントのことを伝える。 「あー！それ、私も興味はあったんですけど、希望しようと思った時にはもう既に締め切ってしまっていて、、。 楽しんでくださいね？ イベントは私も見に行こうと思ってるので。」 カナメは少し残念そうに告げる。 そんな話をしているうちに、2人は風船を膨らませ終わり、カナメの指示のもと飾り付けは終わった。 警備の後にやり始めたので、かなり遅い時間になってしまったが、2人は完成した飾り付けをみて満足そうだ。 「じゃあ、明日はレイさんが来る前に集合ですね！ レイさんいつも朝めちゃくちゃ早いから頑張らないと！」 シズは明日の待ち合わせの時間を再度確認し、荷物を持つ。 「そうですね。 じゃあ明日もよろしくお願いします！ お疲れ様です。」 2人は明日に向けてわくわくした気持ちで帰路に着く。翌日のレイのおどろく顔を想像すると、楽しみで仕方がない2人だった。

先日の杏姫の誕生日の一件以来、たまに噴水広場で杏姫と、楚和華は会っていた。 今日は、楚和華を紹介しようと、杏姫は灯火とルーチェを噴水広場に連れてきた。 噴水広場では、楚和華がギターを弾きながら綺麗な声で歌っていた。 「楚和華ちゃん！ 」 手を振りながら杏姫は、楚和華に近づく。 その杏姫についていくように、ルーチェと灯火は小走りになる。 「あっ、杏姫ちゃん！ と、、？ 」 演奏していた手を止め、杏姫に笑顔で手を振り返し、ついてきた2人を不思議そうに見る。 「こちらは、一緒に仕事をしてる 灯火さんと、ルーチェちゃんです！ 今日はお店がお休みなので3人でおでかけしようってなって、楚和華ちゃん紹介しようと思ってきたの。」 杏姫は、二人を紹介する。 「あ、はじめまして！ 杏姫ちゃんからお話は聞いてました！ 井路尾ルーチェと申します! 遠くからでも聞こえたんですけど、めちゃくちゃ綺麗な歌声ですね、、！」 ルーチェは自己紹介をする。 「こんにちは、私は小鳥遊 灯火です！ 杏姫ちゃんから聞いて気になって来ちゃいました！ 」 灯火もルーチェに続いて自己紹介した。 「はじめましてー！ 2人も紹介貰えて嬉しい！ 私は鳩条 楚和華といいます！ 灯火ちゃん、ルーチェちゃんよろしくね！ 」 楚和華も知り合いが増えて嬉しいのか少しテンション高めに挨拶をする。 「それで、今日は楚和華ちゃんの歌を聞きながら噴水広場で過ごそうって話をしてここに来たんだ！」 杏姫は、二人を連れてきた理由を説明する。 「あっちの方に日陰があるから、あそこのベンチに座って聴いてくれたら嬉しい。 今日、日差し強いからね。」 楚和華は、少しだけ離れたベンチを指さして、日陰へ促した。 「じゃあお言葉に甘えて、2人ともあっちに行きましょうか！」 灯火は、ベンチに向かって歩いていた。 ルーチェも杏姫も、灯火に着いていく。 3人はベンチに腰をかける、心地の良い風が吹いており、日陰は過ごしやすいようだ。 「風が気持ちいいな〜 」 ルーチェは大きく背伸びをして、風を感じている。少しすると、ギターの音が聴こえ始め、楚和華の歌も風に乗って聞こえてくる。 「やっぱ楚和華ちゃん、声綺麗だし心が癒されるなぁ。 」 杏姫は、楚和華の歌声にうっとり聴き惚れている。ルーチェも、灯火も思わず聞き入ってしまっているようだ。 綺麗な歌声に風や、木々、花までも喜んでいるかのように周りの空気はあたたかい。 「今日はありがとう！ 私の歌を聴いてくれて嬉しかった。 また来てね？ 週に一回、王宮から出てもいいってお許し貰えるようになったから、多分たまにここで歌ってるよ。」 楚和華は、聴いてくれた3人にお礼を告げる。 「こちらこそ、素敵な歌を聞かせてくれてありがとうございます。 とても素敵で、思わず聴き入ってしまいました。」 灯火は、素敵な歌にまだ心酔した様子で、楚和華へ話をした。 4人は楚和華の歌を聴いたあと、ベンチに腰をかけ、木陰の下で、アイスを食べながら談笑して過ごしたのだった。

翠と六花が、事情により長期休暇を貰うことになり、パン屋は新しいスタッフが増え、あたふたしていた。 最近入ってきた、瑠愛と珀は覚えるのも早く、すぐに戦力となるほどだった。 瑠愛と珀の休憩が被り、賄いのカフェのメニューを食べながら会話をする2人。 「んーー。美味しい。このオムライスすごく美味しいね？瑠愛ちゃん。」 珀は、デミグラスソースのかかったふわとろなオムライスを食べながら瑠愛に話しかける。 「うん、美味しいね。 私は今日はクロックムッシュにしたんだ。 チーズが溶けてて美味しい。」 瑠愛はほかほかのクロックムッシュを、口に含む。2人の会話は和やかで、とても居心地のいい空間だった。 「みてみて！このオムライスのソースが顔みたいで可愛い、、」 珀はソースが顔みたいと、瑠愛に伝える。 「顔みたい、、、かな？笑 ちょっとわかんなかったけど、美味しそうだね。」 珀は天然な部分があり、よく、変わった発言をする。それは不快なのではなく、ふふっと笑ってしまう可愛らしいものである。珀、独自の世界観なのだろう。瑠愛はそんな可愛らしい珀に、微笑みながら会話を続けた。 「珀ちゃん眠そうだね。休憩終わるまで寝てていいよ？私起こすから。」 「え！いいのー？ じゃあお言葉に甘えて少しだけ寝ちゃう、、」 珀は嬉しそうに、答え、少し寝ることにした。そんな珀を見ながら、瑠愛は可愛いなぁと見つめる。見ていると、瑠愛も眠くなってしまったようで、2人とも気づいたら寝てしまっていた。 ーーー。 2人は寝ながら微笑んでいて、素敵な夢を見ているのだろう。そんなふわふわっとした時間が流れる空間だった。 もちろん。休憩時間を過ぎてから店長が起こしに来て、2人は急いで仕事に戻ったのは言うまでもない。

開店準備を終えたメンバーたち。 明日から本格的に店がオープンする。 店内は大人の女性をコンセプトとした飾り付けで上品さもあり、商品だけでなく店内の雰囲気も大事にしていた。 華純の作成した新商品のPOPも、新商品コーナーに貼られ、後はオープンするだけの状態だ。 「晶羽さん！ そういえば、新商品ってリップ以外にもあるんですか、、？ coming soonってなっててめちゃくちゃ気になる。」 莉生は、来週から発売開始される新商品が気になるようだ。 「そうね。今回のシリーズは”女王”をイメージした、リップとアイシャドウが出ることになっているの。」 晶羽は、本部からの案内を確認しながら莉生に新商品を見せる。 「青系と、ピンク系の2色なんですね。 青は クイーンズ アティチュードで、ピンク系がクイーンオブハートって名前なんですね、何か意味あるのかなぁ、、？」 莉生はコスメの名前が気になるようだ。 「アティチュードは、態度とか立場とかの意味があって、ハートは心とかそんな感じかしらね。」 華純は英語に強いらしく、サラッと意味を莉生に説明する。 「今回のアイシャドウは、対比というのを一番強く表現したくてこの名前にしたって本部からあったわ。 どう対比なのかしらね、、」 うーーん。と、晶羽は頭を傾げる。 「あ、晶羽さんここ見てください。 ここに、この名前の由来小さく書いてあります。 えーと？ クイーンズアティチュードは、 女王の立場として凛と、時には冷たく対応しなければならないそんな様を青色で表現。 クイーンオブハートは、女王が、本当に国民を大事にしている、愛の溢れる人であるという本心という部分をピンク色で表現ってなってますね。」 沙耶は、晶羽が見ていたページを覗き込み、読み上げる。 「え！！ 立場上は冷たくしないといけないけど、本当は温かい心を持っているってことかぁ。 なんか素敵。 」 莉生は説明を見て目を少し輝かせて、わくわくしている。 「じゃあ、私たちも温かい心をもって、接客していきましょうね。 」 晶羽は3人に微笑んだ。 このメンバーなら、温かい気持ちで開店できるだろう。そんな気持ちにさせるような晶羽の一言で、士気は更にあがったのだった。

レイは今日もだいぶ早く出勤したが、シズも早く来たようでほぼ同時に騎士団前に到着した。 「レイさん、おはようございます。」 シズは、レイに声をかける。 「シズさん早いですね！ 今日から巡回警備、よろしくお願いします。」 巡回警備はシズも初めてだった。一通りの流れをレイから聞きながら巡回をする。 「そういえば、今日カナメさん誕生日なんですよ。 何かお祝いしたいと思ってたんですが、どうですか？」 レイはシズに誕生日のお祝いについて提案をする。 「え！？誕生日なんですね！！だからお休みに、、納得です。 家にもお邪魔していいなんてちょっと楽しみだなぁ。そしたら、あそこのパン屋さんにちょっと寄ってから向かいませんか？」 お祝いの中でカナメの家に行くことを知った、シズは人気のパン屋での買い物を提案する。 「良いですね。 パン屋さん朝早くからやってますし、実は昨日の仕事終わりに予約だけして来てたので、私も行こうと思ってました。」 レイは昨日の仕事終わりにパン屋によって、ケーキの予約をしていた。2人はパン屋に寄り、予約していたケーキを受け取ってからカナメの家に向かった。 「ほんとはカナメさんの次の出勤の時にお祝いしようと考えてたんですけど、カナメさんから休憩がてらどうぞって家にお誘い頂いたのでチャンスだと思って。」 レイはシズに家に誘われた経緯を説明する。 「あーなるほど！ なんだかカナメさんとっても気遣いのできる方なんですね？」 シズはカナメの優しさに少しほっこりしている。話をしているうちにカナメの家の前に2人は着いた。 部屋番号も聞いていたので、レイは部屋の前まで行き、インターホンを押す。 「はーーい！ 」 中から声が聞こえ、しばらくするとカナメが扉を開けた。 「あ、カナメさん。誰が来たか確認せずに開けたら危ないですよ？」 レイは笑いながら注意する。 「たしかに！！ お二人が来るの楽しみでつい、急いでしまいました。」 照れ笑いをするカナメ。カナメは、二人を中へどうぞと促す。 「お邪魔します。 家にお邪魔してもいいとレイさんから聞いてびっくりしました。 とても綺麗ですね。」 シズは、キョロキョロしながら家の中に入っていった。 「たしかに、すごい綺麗ですねー！ 」 レイも周りを見ながら中へと入っていく。 カナメはここに座ってくださいと、二人をソファへ促し、自分は床に座った。 レイとシズは顔を見合わせ合図をする。二人は頷き、声を揃えて口にする。 「「カナメさん、誕生日、おめでとうございます！」」 突然のお祝いに驚く、カナメ。普段からちょっとやそっとの事では動じないのだが、これにはビックリしたようだ。 「あれ？私今日誕生日か、！ すっかり忘れてました。年齢を重ねると誕生日忘れちゃうんですよねー」 カナメは本当に誕生日を忘れていたようだが、お祝いされたことは嬉しいのか笑顔になる。 「これ、ケーキです。 今日買ってきたやつです！食べてください。」 シズは先程、予約で受け取ったケーキをカナメに渡す。 「え！？ケーキまで！！ 実はケーキめちゃくちゃ好きなんですよ、ありがとうございます！！」 カナメは嬉しそうにケーキを開ける。ケーキはホールケーキだった。 「しかもホールだ！せっかくですから皆さんで食べませんか？ ちょっと切ってきますね。」 カナメはキッチンに向かい、ケーキを切り分けて戻ってきた。 「あとこれは、私からのプレゼントです。」 レイはカナメにラッピングされた袋を渡す。カナメはプレゼントを受け取り、中身はなんだろうと袋を見つめる。 「開けてもいいですか？」 カナメは中身が気になるようで、開けていいかを確認する。レイは静かに頷く。 「クリーム、、？これなんですか、、？」 あまり見たことのないプレゼントに首を傾げるカナメ。 「ふふ、これは目のクマを目立ちにくくするクリームですよ。 深夜によくホラゲー見るって言ってたので、朝起きてクマが酷かったらぜひ使ってください。」 レイはカナメのクマが少し気になっていたようで、プレゼントに選んだようだ。 「ありがとうございます！ 目のクマどうにかならないものかと気になっていたんです。 深夜のホラゲー鑑賞は辞められないので、、」 自分のことをよく見て、気にかけてくれるレイが嬉しくて、カナメは更に笑顔になる。3人は、買ってきたケーキを食べながら会話をし、今後の騎士団のことなどを話し合った。 休憩を終えた、2人は要の家を去り、巡回警備へと戻った。 騎士団がこのように明るければ、街の未来も明るいだろう。

今日は、レイとカナメが2人で巡回警備をする日だ。レイは少し早めに到着をし、カナメを待つ。 「おはようございます！ レイさん早いですね、、！ 」 カナメは到着してすぐ、レイに声をかける。 小走りで来たのか、少し息が上がっている。 「カナメさん、おはようございます。 わざわざ走らなくっても良かったのに、、！じゃあ早速、巡回して行きましょうか。」 挨拶を交し、仕事に入る2人。 巡回警備をしていると、街のお店や街の雰囲気、色んな人との出会いがあるのもまた、やりがいとなっている。 「あらぁ、レイちゃん。 いつも警備お疲れ様ねぇ、 隣の子は新しい騎士の方なのかしら？ ほら、この煮物家でいっぱい食べてちょうだいな。 」 レイはほぼ毎日巡回警備をしているから、街の人に顔を覚えられている。 話しかけてきたおばちゃんはいつもレイに夕飯にとご飯を分けて持ってきているのだ。 「あ、佐々木さん。 いつもありがとうございます。 仕事終わったら家で美味しく頂きますね。この子は新人の、カナメさんです。 騎士に最近新人さんが2人入ったので新人の子とも仲良くしてくださいね。 」 レイはお礼を伝え、カナメを紹介する。 「カナメと申します。少しでも早く警備に慣れて、皆さんの顔と名前覚えますね！ 佐々木さん、よろしくお願いします。」 カナメは、佐々木へ挨拶をする。 佐々木は、カナメの真面目さに安堵した様子だった。 「良かったわぁ、良い子で。 カナメちゃんも早く慣れると良いわね。 」 返事をし、2人は次の警備の場所へと向かう。 次は噴水広場だ。今日の噴水広場は子供が多いようだ。 「うぇぇええん。 うぅっ。」 遠くから男の子の泣き声が聞こえる。何事かと、急いで2人は近寄る。 男の子は膝を抱え目に涙を浮かべながら泣いている。 「どうしたの？」 カナメは、男の子と同じ目線までしゃがみ、話しかける。 「ぼくっの っ、、うぇっううう ふーしぇんが、、、。」 男の子の指さした先を見ると、赤い風船が木に絡まってしまっている。 「よしよし、お姉さんが取ってあげるから、ちゃんと説明できてえらいね？」 カナメは男の子の頭を撫で、ヒョイッとジャンプをして風船をとり、男の子に風船を渡す。 「あ、ありがとう！！！ お姉さんかっこいい！僕もお姉さんみたいになる！！」 男の子は、嬉しそうに風船の紐を握りしめ、カナメに感謝を伝えキラキラした目で伝える。 「お姉さんみたいになるのかぁ！ じゃあ、すぐには泣かないようにしないとね。 泣かずにお話できるようになったら、もっとかっこいいなぁ。」 カナメは、男の子によしよししながら話をする。 「わかった！！僕、泣かないでちゃんとお話出来るようになる！ 僕も騎士になるー！」 男の子は目をさらに輝かせ、笑顔でカナメに話す。 「うん、偉いね。 気をつけて帰るんだよ。」 男の子にバイバイをして、2人は次の警備に向かう。 「カナメさんは子供の扱いが上手いですね。優秀な騎士候補が今日誕生したかもですね？」 冗談混じりに笑いながらレイは、カナメを褒める。 「実は結構子供は好きな方なんです。 じゃああの子が騎士になったら私が面倒みますね、？」 カナメも冗談を言う。 すると、突然カナメが足を止める。 「ん？ カナメさんどうしたんですか？」 不思議そうにレイは立ち止まったカナメを見る。 「あ、ここ、家なんですよ！ 警備の巡回コースに家入ってたんだなぁなんて思ってつい立ち止まっちゃいました。」 カナメは自身の住んでいる家を指さしながら、話す。 「え！そうなんですねー！ 明日は仕事お休みだし一日、家にいるんですか？」 「はい、その予定です。 明日、シズさんと巡回ですよね？ その時休憩がてら家に寄ってもいいですからね！ 飲み物とかお出しするんで！」 カナメは一人暮らしのため、人と話している時間は結構好きなので、2人を誘った。 「そしたら、お言葉に甘えて寄っちゃおうかと！ 」 レイはカナメの提案を受け入れて、カナメの家にお邪魔することにした。 「はい。ぜひぜひ〜！」 2人はその後も他愛もない会話をしながら、今日の巡回箇所を回った。その後は特に変わったことも無く、普通に巡回をし仕事を終えたのだった。

「おはようございます。」 カナメは騎士団へ到着後、レイへ挨拶をしに行った。既に、もう1人いて歓談している様子だった。 「カナメさん。おはようございます！ あ、こちらが昨日少しお話したシズさんです。シズさんも挨拶お願いします。」 レイは、シズに視線を向け挨拶を促した。 「はじめまして、シズ と申します。 私も先日騎士団に加入したばかりだったので、分からないことも多いのですが、よろしくお願いします。 仲間が増えて嬉しいです！」 シズはカナメに挨拶をする。 「はじめまして！ カナメと申します。 慣れずに迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、何よりもこの街の皆さんの笑顔が守れるよう頑張っていきますので、よろしくお願いします。」 2人が挨拶する様子を微笑ましく見守るレイ。 ずっと1人で街の警備をしていたからか、人がいるということが嬉しいのだろう。 「お二人はまだ来てから日も浅いので、基本的には私と2人ずつで、シフトを組んでもらいます。 慣れてきたらそれぞれ2人ずつで警備という流れになるのでよろしくお願いしめす。」 レイは業務の流れを説明する。 今まで1人でやっていた分、話し相手がいる2人は楽しみでもあるのだ。 「明日は、カナメさんと私。明後日はシズさんと、私というシフトを組ませてもらいました！」 カナメの誕生日を履歴書で確認していたので、誕生日の仕事は避けてあげようという計らいだ。 「シフトがない日はどうしたらいいですか？ 」 ふと疑問に思ったカナメは問う。 「シフトがない日は休みで大丈夫ですよ。 休める時にしっかり休んでおきましょう！」 「それだと、レイさんの負担が大きいんじゃ、、？」 シズは心配そうにレイに問う。 「あ、大丈夫ですよ！2人が1人前になったら私にも休みをくださいね！」 レイは笑いながら答える。 「早く1人前になって、レイさんにお休みをあげれるように頑張ります！」 カナメはレイのためにと、やる気に満ちていた。 「そうですね。 私も、レイさん楽にさせたいと思ってますので、1人前目指します。」 シズの言葉からは、レイのために早く1人前になろうという意志が伝わってきた。 2人の優しさに温かい気持ちになるレイ。人がいるって温かいなぁと、改めて感じた。 「じゃあ、今日は警備する時に注意することと、どういうふうに巡回するかについて説明するので、しっかりメモとってくださいね！」 レイは仕事もモードに戻り、2人に警備の流れを説明し始めた。2人もメモを取りながら、レイの話を聞き、真剣な表情を浮かべていた。

騎士団の前で、緊張した面持ちでレイが立っている。なにかをまっているのか、そわそわしているのを隠せていない。 胸に手を当て、騎士たるものどんな時でも冷静にと自分に言い聞かせる。遠くから1人の女性がやって来る。 レイは履歴書も再度見ながら、遠くから来る女性を見る。履歴書を眺めていて気づいたが、次来る方の誕生日が3日後だった。先輩としてなにか誕生日に向けて用意しようと考えていると、当の本人は到着したようで、 「お忙しいところすいません。私はカナメと申します。本日よりよろしくお願い致します。」 カナメは、頭を下げた。レイはカナメの目のクマが気になりつつ、挨拶を返す。 「カナメさんもこんにちは。本日からカナメさんの研修を任せれている レイと申します。これからよろしくお願いしますね。」 カナメは改めて礼をして、レイの後ろをついていく。 ーーーー。 一通り施設内の説明を受け今日は解散となった。レイはカナメを出口まで案内することにした。 「カナメさんは、よく夜更かしするんですか？」 レイは、ずっと疑問に思っていたことを口にする。 「え！？ あ、もしかしてクマできてますか？ メイクで隠したんだけど目立っちゃうか、、、。実は深夜にホラゲー鑑賞するのが好きでついつい夜更かしをしてしまうんですよ。」 何とも意外な返事に驚きながらレイは話す。 「ホラゲーですか！？ 私は苦手なので、見れるのすごいなぁ。」 話をしているうちに出口へ辿り着く2人。 「それでは、本日は施設の案内などありがとうございました。 明日からよろしくお願いします。」 「はい。明日からよろしくお願いしますね。 今日はお休みなのですが、シズさんという方もいるので、また明日のご紹介しますね！お気をつけて！」 カナメはレイに一礼をし、帰路へ着いた。

ーーー次の土曜日 今日は杏姫の誕生日だ。 杏姫は、先週の約束通り噴水広場に向かう。 噴水広場に着くと、楚和華もちょうど到着したのか、ギターをケースから出している。 「あれ？杏姫ちゃん！ 早いね、、！ あと、お誕生日おめでとう。」 朝の噴水広場は人もあまりいないため、杏姫にすぐ気づいた楚和華。 「楚和華さん、ありがとうございます！誘って貰えたのが嬉しかったので、早く来てしまいました！ 楚和華さんも早いですね。 」 杏姫は楚和華に近付きながら話す。 「えへ、楚和華さんだなんて。楚和華って呼び捨てでいいよ？ 呼びにくければちゃん付けでいいからっ！ 距離感じちゃうから気軽に呼んでよ。 」 王宮の子となると、やはり少し気軽にいくのは気が引ける気持ちになっていた杏姫は、楚和華からの提案に少し嬉しい気持ちになる。 「いいのかな、、？そしたらそわちゃんって呼ばせてもらうね。 ふふ、仲良くなれた感じが嬉しいな。」 微笑む杏姫は本当に嬉しそうな様子だ。 「ねぇ、どうしても聴いて欲しい曲があるんだけどいい？」 楚和華は唐突に提案をする。 「え、うん！もちろん聴きたいな。」 前回の綺麗な歌声をまた聴けると思い、二つ返事で頷く杏姫。 頷いた杏姫を見た楚和華は、楽譜を開きギターを弾きはじめる。 〜♬.*ﾟ 杏姫は、綺麗なギターの音色に目を閉じて、耳を傾ける。歌が始まり、綺麗な歌声が噴水広場に響く。 美しい歌声は噴水の水と共鳴するかのように透明感溢れ、風も喜んでいるのか、心地の良い風が楚和華の綺麗な髪を靡かせる。 この時間が長く続けばいいのに、と思うような空間だった。 パチパチパチ 歌が終わり、杏姫は拍手をする。 「とっても素敵！！ 心地よくて、凄く短い時間に感じちゃった、、、！」 杏姫は素敵な歌声にうっとりし、感想を述べる。 「ありがとう。これ、杏姫ちゃんの誕生日にって書き下ろした新曲なんだ。誕生日に時間を空けてくれてありがとう。 あの後帰ってからずーっと考えて、完成した曲だから喜んで貰えて嬉しい！ 」 楚和華は杏姫が誕生日に時間を作ってくれたからと、王宮で曲の制作をしていた。曲が仕上がったのはギリギリで、昨日の昼間だった。 「え！？ 私のために作ってくれたの？？ 歌詞が心の中にスっと入ってきて本当に素敵な曲だったから嬉しい。ありがとう！！！」 自分のために曲を作ってくれていたとは思ってもいなかった杏姫は本当に嬉しそうな様子で感謝を述べる。 「あと歌のプレゼントだけじゃ、心細かったから、、、。これ、プレゼント。開けてみて？」 喜んで貰え嬉しかったのか、照れながらも言葉を続ける。プレゼントまでしっかり用意している楚和華。 「え？プレゼントまで、、いいの？」 ラッピングされた箱を受け取る杏姫。 早速開けていいか尋ねると、楚和華は頷いて少し心配そうに杏姫を見ている。 「わぁっ！ 可愛い！これは香水かな？ 香りもとっても好き。 」 シュッと香水を手首に吹きかけ、匂いを嗅ぐ杏姫。ストロベリーとカシスの香りのようだ。 「杏姫ちゃんの髪の毛と目の色が赤だったから、イメージでこの香りにしたんだ。 好きな香りで良かった、、。」 喜ぶ杏姫をみて安心する楚和華。 「とっても好きだよ！ 香水の入れ物も可愛い、、大事にするね。」 楽しい時間はあっという間で、気づいたら午前が終わろうとしている。 「あ、杏姫ちゃん！もうそろそろ帰らないとだよね？ 誕生日の半分の時間をくれてありがとう。 」 楚和華は時間を杏姫に伝える。 名残惜しいが、そろそろ帰らなくてはならない。 「ううん、素敵な歌とプレゼントまでありがとう！ そうだね、、そろそろ帰らないと。 また、聴きに来るね？」 「うん。 また聴きに来てね。 二週間連続で勝手に王宮抜け出して来ちゃったから暫く来れないかもだけど、、！ 見かけたら声かけてね。」 2人は挨拶を交し、帰路に着いた。 杏姫は幸せな気持ちのまま家に帰り、 午後からは家族に盛大にお祝いをしてもらい、美味しいケーキも食べ最高の一日となった。

ーーーある日の休日 杏姫は噴水広場で何やら道具を広げている。 「ふんふんふーん🎶」 とても上機嫌な様子で道具を広げ終えた、杏姫は、筆をとり白いキャンバスに下書きを始めた。 どうやら噴水広場の風景を描くことにした様子の杏姫。 杏姫はスラスラと下書きを終え、少し休憩をすることにした。すると、どこからかギターの音と綺麗な歌声が聞こえてきたので、辺りを見渡す。 噴水に腰をかけながら、弾き語りをしている女性がいた。彼女は綺麗な白くて長い髪を靡かせながら、優雅に歌っている。気づけば杏姫は聞き入っていた。 「うわぁ、素敵な歌声、、」 思わず声が漏れる。 すると歌っていた彼女はこちらへ歩み寄ってきた。 「ねぇ！ 私の歌を聴いてくれていたの？ 私ね、休みの日は良くここの噴水広場で歌っているの。 あれ？？ 貴女、とっても上手な絵を描くのね！！」 ギターを抱えたまま、彼女は話しかけてきた。杏姫はびっくりはしたが、絵を褒められたのが嬉しかったのか少し笑顔で話す。 「とっても素敵なギターと歌声が聴こえてきて、ついつい聴き入ってしまったんです。 歌がとっても上手なんですね！ 絵はまだ下書きなんですけどね、、！それでも褒めてもらえるのは嬉しいです。」 彼女は褒められて嬉しかったのか、手を握って更に話を続ける。 「え！ほんとに？？嬉しい！ 私ね、ここに引っ越してきたばかりの時に、ここの噴水広場で歌ったら楽しいだろうなーって思って良く王宮を抜け出して、ここに来てるんだ。 ねぇ、名前なんて言うの？ 私は鳩条 楚和華（ｷｭｳｼﾞｮｳｿﾜｶ）っていうの。」 王宮の子だったことに驚く杏姫。王宮に住んでいる子はこの街のあこがれの存在であるからだ。 「えっ！あ、王宮の方なんですか！！ 私は 北条杏姫と申します。 噂にもあった王宮の方の生歌を聞けるなんて最高です、、。」 生歌を聴けた嬉しさを隠せない杏姫は思ったことをそのまま伝える。 「杏姫ちゃん、可愛い名前だね！ ねぇねぇ、また噴水広場に歌を聴きに来て。 今度の土曜日とかで、また会いたいなっ！」 楚和華は、杏姫を気に入ったようで、無理やり誘うというわけではなく可愛らしくお願いをしている。 「もちろん！また聴きにきます。 ただ今度の土曜日、実は私の誕生日で午後から予定があって、、、午前中なら来れると思います！」 誕生日は、午後から家族で出かける予定があった。楚和華から誘われたことも嬉しかったので、約束をすることにした。 「え！！誕生日なの！？ わーおめでとう！ そっかそっか誕生日かぁ。 午前中時間空けてくれてありがとう。 」 楚和華は、会って間もない自分と誕生日に会ってくれる優しい杏姫に感謝をしつつ、1つ準備をすることにした。 「今日は急に話しかけちゃってごめんね、、？ そろそろ王宮のメイドたちに怒られちゃうかも。」 えへへ、と笑う楚和華はあまり悪いとは思っていなさそうだが、そんな自由気まま部分もまた良さなのだろう。 バイバイっと手を振り、楚和華は帰って行った。 「王宮のイメージ変わったなぁ、怖い人とか多いのかと思ってたけど凄く優しかったし、何よりも歌うまかったなぁ。また聴けるの嬉しい。」 一人言をつぶやき、杏姫は下書きした絵に手を加え始めた。 ーーー王宮 楚和華の部屋には紙とペンが広げられており、その上にはなにかの文字が書いてある。 「うーーん、間に合うかな、、、。」 一人言を呟きながら何かの作業をしている。

「深いわけ、、ですか？」 華純は不思議そうな顔で、晶羽を見つめる。 「ええ、ほら、2人とも説明して。」 沙耶と莉生に説明をするよう、晶羽は促す。 「実は、私たちパソコン苦手で、華純さんがいない日に業務しなきゃって思ってパソコンで作業してたんですけど、急に画面コロコロ変わってあれ！？あれ？ってなってたらら華純さんの履歴書がでてきて、、」 沙耶はいつもの冷静さはなくちょっと焦りながら説明をする。 「うん、、、それで、華純さんの誕生日をちょっと前に知って、、！今日出勤だからなにかしようかなって話をしてたんです！！ 」 莉生も沙耶に続けて、焦りながらも説明をする。 「「勝手に履歴書覗いちゃってごめんなさいっ」」 2人は声をハモらせて謝った。 「うふふ。そんな謝らないで？ 私ね、この歳になってくると誕生日なんて祝われることもなくいつもの日常としてすぎていくんだろうなって考えてたんだけど、祝われたら嬉しいものね？ 履歴書なんて全然見られても大丈夫よ。 むしろお祝いしてくれてありがとう。」 華純は、必死に説明して謝る2人が可愛くて思わず笑みをこぼす。 「そして、これは3人からのプレゼント。開けてみて？」 晶羽は、綺麗にラッピングされたプレゼントを華純へ渡す。このラッピングはなぜだか、見覚えがあるようで、 「あれ？このラッピングってうちのお店のじゃないですか、、？」 ラッピングの練習もたまにしていた華純は、すぐに気づく。 「そうなんです！ これ実は、ここのお店のコスメですよ！！ 次の新作のやつです！ スタッフは先行で買えるから、購入してプレゼントにって3人で話してたんです！」 莉生は少し、興奮した様子で華純に話す。 「それと、ポップを作ってくれてる時にすごく気に入ってる様子だったのを莉生が気づいてて、絶対これがいいって話になったんですよ？」 沙耶も続ける。 「うん、このポップ作ってる時にこれが販売されたら買おうかなって思ってたからすごく嬉しい。ありがとう。晶羽さんもありがとうございます！ でも、先行で変えるなんて私情報来てなかったなぁなんて、、」 全員にお知らせがいく訳では無いのか？と少し不思議そうな華純。 「あ、それはこのプレゼント決めた時に私が、華純ちゃんに情報が飛ばないように私が急いで設定しちゃったの。」 えへへ、とイタズラそうに笑う晶羽。 「あ！！！そうなんですか！？ 先に買ってたらどうしようってハラハラしちゃってました」 沙耶も聞いてなかったらしく、びっくりしている。 「あれ？言ったつもりになってたわ、、？2人ともごめんなさいね？」 少し笑いながら伝える晶羽は、あんまり悪く思ってなさそうだが、2人は不思議と嫌な気持ちにはならない。むしろ、知らないところで動いていてくれた晶羽に感謝をしている。 「なんだか今日は何年ぶりかのとっても素敵な誕生日になったわ。皆さんほんとにありがとうございます。 これからもよろしくお願いしますね！」 何歳になっても誕生日は祝われたら嬉しいものだなあと感じながら、華純は誕生日を過した。

ーーー華純の誕生日当日 華純は、誕生日もいつもと変わらない日常を送っていた。誰かに誕生日を教えた訳でもないので、祝われることも無くいつも通りの1日として終わっていくんだろう。 そう考えながら今日もコスメ屋での仕事をこなしている。あまり気にはしていないが、誕生日で一喜一憂する年齢でもなくなってきて、少し虚しい気持ちにもなるのは事実だ。 「晶羽さん、新商品のコスメのポップってこんな感じでいいですか？」 コスメ屋の開店と共に発売される新商品の広告を作成している華純。前職の化粧品メーカーで事務をしていた際に、よく広告を作っていたからか、デザインも申し分のない出来だ。 「わぁ、とっても素敵。こんな素敵な広告私には絶対作れない、、。莉生ちゃんも沙耶ちゃんもちょっとこっちきて見てみて！」 店長として、店の雰囲気作りも仕事のひとつではあるのだが、晶羽は無意識的に雰囲気を良く仕事を進める才能があるようだ。 「わぁ！すごい、、！ 私もこんなに素敵な広告は作れないから、晶羽さん尊敬します。ここのフォントとかすごく可愛い、、沙耶ちゃんもみてみて！」 パソコンを覗き、指を指しながら話す莉生。莉生は、素敵な広告を見て心を踊らせた。早く感動を共有したく、沙耶に話を振る。 「ほんと、すごく素敵。背景と新商品の画像の組み合わせもすごく素敵だし、パッと見た時に惹かれるし、買いたいって思っちゃう。 」 沙耶も作成された広告を見て、思ったことを伝えた。華純の作ったポップは誰が見ても買いたくなるようなそんな広告だった。 「そしたらこの広告のイメージを紙でも見てみたいから印刷してきてもらってもいい？」 晶羽は、華純に問いかける。 「はい、印刷してきますね！あと、皆さんありがとうございます。褒めすぎですよ。じゃあ、ちょっとだけ出てきます。」 華純は、USBにデータをうつし、コピー機のある店に向かった。コスメ屋にはコピー機が無いので、近くのお店でいつもコピーをしている。 「とりあえず1枚印刷してイメージ見てもらってから、たくさんコピーの方がいいよね、、。」 独り言を言いながら、コピー機の列に並ぶ華純。ここのコピー機はいつも列ができているので少し待つことになる。 ーーーーー。 印刷を終え、コスメ屋へ戻る華純。 ♪カラン 華純がドアを開けると、 「「「誕生日おめでとうございます！！」」」 3人が、クラッカーをこちらに向けお祝いをしている。華純は、驚いて少しフリーズしている。それとともにひとつの疑問が頭をよぎる。 「あれ？え！あ、ありがとうございます。何で私の誕生日知ってるんですか！？」 「ふふ、深いわけがあってね。」 意味深に微笑む晶羽と、ちょっと恥ずかしそうにしている莉生と沙耶がいた。

ーーー翌日 気持ちを入れ替えて、灯火は出勤をした。いつものことながら、店は忙しく気づけば、閉店の時間になっていた。 「灯火さん、お誕生日おめでとうございます！お休み予定から急に出勤なんて、大変でしたね、、、。 」 締め作業を終えた杏姫が、灯火に声をかける。同じく締め作業を終え、少し一息をついていた灯火。 「杏姫ちゃんありがとう！ うん、残念だったんだけど仕事だからしょうがないよね。 でもなんだかんだお客さんの笑顔が見れて素敵な誕生日だったかも」 誕生日に急遽仕事になってしまったにも関わらず、前向きな灯火だが、やはり少し悲しそうにも見える。 「文句言ってもいいと思いますよ！！ 誕生日に仕事入れるなんてー、あほー！って」 ルーチェが明るい声で、灯火を励ます。ルーチェの明るさで、灯火の顔は笑顔になり、場が和んだ。和んだのを察し、杏姫が休憩スペースから戻ってくる。 「灯火さん、ルーチェちゃんから聞きました、、！ここのケーキ食べたかったって。 実は出勤前に買ってきちゃいました！」 杏姫の手には、人気なベーカリーの袋が握られている。灯火は思いもしないサプライズに驚いているようだ。 「え！？ あそこ朝から並ばないと買えないよね、、？ 今、びっくりしすぎてて、伝わりにくいかもしれないけどすっごく嬉しい、、！」 灯火は、驚きが強いようで喜びが上手く表現出来ていないが、2人にはその喜びは伝わっているようだ。 「昨日、杏姫ちゃんと帰りに少し話していたんです。灯火さんが、ここのケーキ食べたかったって残念そうにしていたことを。」 「そうなんです！それで、私今日午後出勤だったし、朝並んでそのまま出勤して驚かせちゃおうと思って、休憩室の冷蔵庫にしまっておいてました！」 2人は昨日の帰り道、このサプライズを計画していた様だった。 「灯火さん、いつも飲み物は冷蔵庫に入れてなくて、常温でのんでいたので、冷蔵庫を開けないかもって話を杏姫ちゃんとしてたんですけど、見事バレずに済みました。良かったぁ！」 ルーチェは、仕事中いつも常温で飲み物を飲む灯火の姿を見ていたのを思い出し、昨日の夜、杏姫にそれを伝えた。サプライズ計画はバレずに済んだようだ。 「誕生日に仕事ってなったら私、すごく嫌なのに、一切表情に出さずに仕事をしていた灯火さんすごいです！ おーちに持って帰って食べてくださいね」 杏姫は、灯火の手にケーキを握らせて、優しく声をかけた。 「2人ともありがとう、、！頑張ればいいことがあるんだね。明日からも仕事頑張れるよ！」 2人の優しさは、疲れていた灯火の心に響いた。灯火は頑張ってよかったと思いつつ、素敵なメンバーと働けている環境にも感謝をし、誕生日を終えたのだった。

(こちらは、声劇のストーリー後のお話となります。ルーチェと杏姫の出会いは後日完成したら声劇にて公開します！お楽しみに！ ) 店の営業が終わり、片付けを始める灯火。最近入ってきた、ルーチェと杏姫は仕事もテキパキとこなし、灯火は助けられていた。 灯火達の衣装屋には店長が常駐していない為、本部からは運営や欠員が出た際はメールで連絡が来る。 今日の片付けは、灯火、ルーチェ、杏姫の3人なので、一番業務歴の長い灯火が本部からのメールも確認をしている。 「え！？ そんなぁ、、、。」 片付けをしている店内に、灯火の落胆する声が響く。乱れていた服を整理していたルーチェは何事かと、灯火のもとへ行き声をかける。 「灯火さん、なにかあったんですか？」 灯火は、残念そうな顔をしながら本部からのメールの内容を伝える。 「明日、アルバイトの子がお休みになってしまったから代わりに出勤をしてくれって頼まれたの、、。 明日、誕生日だったから人気のパン屋さんのとこのケーキ買うために早起きしようと思ってて、、でも、仕事だからしょうがないよね。」 少し不服ではあるものの、ＮＯと言えない灯火は、出勤することにするようだ。 「え！？ 誕生日なんですか！！それは、私が代わりますって言いたいところだったんですけど、明日出勤でした。 でも、灯火さん尊敬します。ちゃんと分かりましたって返していて、、責任感あって素敵って思いました。私、めんどくさがり屋なので、私ならいやです！とか言っちゃいそうです。」 ルーチェはめんどくさがり屋だからーと苦笑いしながら、灯火へ話す。めんどくさがり屋とは言いつつ、出勤予定じゃ無ければきっと代わっていたんだろうそんな優しさを含んでいた。 「あれ？ 2人ともパソコンの前でどうしたんですか？」 ごみ捨てから帰ってきた、杏姫はパソコン前で元気の無い2人を見て声をかけた。 「あ、杏姫ちゃんおかえり！ごみ捨てありがとう！ ううん、なんでもないよ！ 急遽明日も出勤になっちゃってちょっとがっかりしてただけ。」 灯火は、笑顔でお礼を告げつつ、気にしないように話をする。 ーーー。 「よしっ！片付け終わりだね。 2人とも今日もお疲れ様。 また、明日もよろしくね！」 片付けを終えた3人は、帰路へと向かう。 灯火が先に帰り、ルーチェと杏姫は会話をしながら途中まで帰る。 「なんだか、灯火さん元気なかったね。急に出勤頼まれたら元気なくなるからしょうがないと思うんだけど、予定があったのかもね、、」 杏姫は灯火の元気の無さを気にしているようだった。 「灯火さん、明日誕生日だったんだって。それで、あの人気なパン屋さんで売られてるケーキ朝から並んで買おうと思ってたみたいで、すごく落ち込んでたんだよね。」 ルーチェは、落ち込んでいた、理由を杏姫に伝える。 「えぇ！？ 誕生日に仕事なんてせっかく休み取ってたのにそれは可哀想。。。 あ！！！ ねぇ、、、、」 杏姫はなにか思いついたように、ルーチェに話す。 「え？ うん。 うん。 それいいね！？そうしよう。」

ーーー沙耶の誕生日 莉生と沙耶はいつも通り、噴水広場で待ち合わせをしていた。 夏らしく涼しそうな格好をし、日陰で莉生は沙耶を待つ。早く着きすぎたのか、そわそわしながら周りを見渡しながら待っている。 「あれ、、？ あの人、、。」 莉生は噴水広場のベンチに腰をかけ、雑誌を読んでいる1人の女性に目が止まる。莉生はその女性に近づき、声をかける。 「あの、小鳥遊さん、ですよね？？」 意図せず名前を呼ばれた、灯火は少しびっくりしながら莉生をみて、この前買い物に来てくれたお客さんだったことを思い出す。 「あっ。この前の、、、！この前は、お店に来てくれてありがとうございました。プレゼント、喜んで貰えましたか？」 莉生は覚えててくれたことに嬉しさを感じつつ、声をかけて良かったという気持ちになる。 「実は、今日プレゼントするんです！ お誕生日なので、これから会う約束をしていて。 あ、あと、急に声かけちゃってすいません！お見かけしたことあってつい！」 ちょっと焦りながら答える莉生に灯火は笑みをこぼす。 「大丈夫ですよ。今日は天気も良かったので散歩しようと思ってたんですけど、とても暑くて日陰で涼んでただけなので。お客様のお友達、喜んでくれるといいですね」 莉生は優しい灯火に、ほっとしながらも名前を伝えてないことに気づく。 「あ！私、涼風莉生っていいます！ぜひ、名前で呼んで貰えませんか？こうしてまた会えたのも何かの縁ですし！」 莉生の純粋な好意を感じ、灯火は嬉しい気持ちになった。 「ふふ。莉生ちゃん！ 私は小鳥遊灯火って言います。なんだかお友達が増えたような気がして嬉しいです。」 二人は、他愛もない会話をしながら時間を過ごす。すると 「莉生。いつも早いわね！お待たせ。」 待ち合わせ時間ちょうどに沙耶が到着した。 「沙耶ちゃん！ あ、こちら小鳥遊 灯火さんっていうの！ あの有名な衣装屋さんの店員さんで、少し仲良くなったからたまたま見かけてお話してたの。」 莉生は沙耶に、灯火を紹介する。 灯火もすかさず、挨拶を続ける。 「こんにちは、小鳥遊 灯火と申します。 莉生ちゃんとはさっき仲良くなったばかりで、沙耶さんのお話も少し聞きました。」 そう。他愛のない会話の中で、莉生は沙耶の話をしていたようだ。 「あ、黒金 沙耶と申します。 あそこの衣装屋さんの店員さんなのですね！ 莉生がお世話になってます。」 沙耶も挨拶を続けた。 「あっ、灯火ちゃん！そんな沙耶ちゃんの話ばっかりしてないよ！そんな大好きって感じなわけでもないんだからっ！」 顔を赤くして、焦りながら莉生は灯火と沙耶を交互に見て話す。ツンデレなのかなんなのか、それじゃあ、まるで大好きと言っているような莉生をみて沙耶は 「そう、私のことあんまり好きじゃないのね、、、」 と、悲しいフリをしてみる。 そんな2人のやりとりをみて灯火は微笑ましいなぁと感じた。 「あっ、違くて！ 沙耶ちゃんのことは好きだけど！ 恥ずかしかっただけだよ。」 焦りながら沙耶にちかづく、莉生。 「ふふ、冗談よ。莉生の反応見たくてつい、ね？」 笑いながら莉生に話す沙耶。 「もー！沙耶ちゃん！」 莉生は少し拗ねつつ話す。 本題を思い出し、話を続ける。 「あ、沙耶ちゃん！ お誕生日、おめでとう！！！ 今日あんまり時間ないって聞いてたからプレゼント渡したくて、、！はいっ！これ。。」 莉生はラッピングされた、小さい箱を沙耶に渡す。それを見た灯火もオススメしたからなのか、一緒にドキドキしながらその光景を眺める。 「莉生、ありがとう！誕生日当日じゃなくても、今度会った時でも良かったのに。あ、ねぇ、今開けてもいい？」 嬉しいのに素直じゃない沙耶。 とは言いつつ、嬉しさを隠しきれていない様子の沙耶。 無言で頷く莉生をみて、ラッピングを開け中をみる沙耶。中からでてきたピアスを見て 「かわいい！ 夏っぽいピアスがなくて探してたの、、。すごく可愛い。大事にするね？」 沙耶の喜ぶ姿を見て莉生は、 「ぁぁぁぁ、よかったあ。実はそれ、灯火ちゃんのとこで買って、灯火ちゃんオススメのやつなんだよ！」 突然話を振られて、驚きながらも灯火は 「あ、そうなんです。 このピアス夏をイメージしていて、雲ひとつない快晴のように輝く女性をイメージして作られています。 沙耶さんにピッタリですね。」 沙耶は嬉しくなり、すぐ身につけた。 「帰ったら鏡でも確認してみるね！ 莉生も灯火さんもありがとう。素敵な誕生日になったわ。」 プレゼントのピアスと同じように、3人の笑顔を照らすかのように輝く太陽。 今日は、雲ひとつない快晴のようだ。

👗💋 莉生は、沙耶から誕生日プレゼントでもらった、黒のスカートを着て買い物をしていた。 「あ、この前洋服買ったお店少し空いてる、、！ちょっとだけ覗いちゃおうかな、、」 いつも混んでいる衣装屋が少しだけ空いているのを見て、莉生は小さく一人言を呟きながらお店に足を踏み入れる。 すると、早速スタッフに声をかけられる。 「いらっしゃいませー。あれ、そのスカートここのお店のですよね！ 実はそれ可愛くてもう完売してしまったんです。お姉さんとても運が良かったですね 」 スタッフのネームプレートには『小鳥遊』と書かれている。声をかけてきたスタッフは灯火だった。 「あっ、はい！実はこれ友人からプレゼントで貰って、、可愛くてとても気に入ってるんです。」 莉生は、話かけてきた店員さんの雰囲気が柔らかく、話しやすかったのか、つい嬉しかった出来事を話す。 「とても素敵なご友人ですね。プレゼントをし合える友人ってとっても素敵ですよね！ 今日は何かを探しに来られたんですか？」 この前、六花の誕生日をお祝いしたことを少し思い出しながら、接客をする。 「あ、実は、、その友人が今度誕生日なので何か素敵なお返しをしたいなって思ってたら、このお店がいつもより少し空いてたので入ってきたんです、、！」 莉生は、沙耶の誕生日のお祝いをしようとプレゼントを探しに買い物に来ていたようだ。 「わー！とっても素敵ですね！ 実は当店、服だけじゃなくて多少はアクセサリーを取り扱ってるんですけど、見ていかれますか？」 灯火は、自分の事のように嬉しそうに話しながら、提案をする。 「え！アクセサリー、、見たいです！」 二人はアクセサリーコーナーに向かう。 「今、人気なのは季節に合わせたデザインのもので、夏なので 向日葵（ひまわり）モチーフのものとか、夏の暑さをイメージしたものもございます。」 灯火は、アクセサリーのオススメを莉生に提案する。 「あの、、この水色のピアスは何をイメージしているんですか？ 」 ふと、水色のピアスに惹かれる莉生。 「こちらは、夏の空をイメージしてます。 雲ひとつない快晴のように輝く女性をイメージしてます。」 莉生の疑問に答える灯火。 「これがいいです！！私の中での友人は、輝く女性って感じなんです、、！」 莉生は水色のピアスを購入することにした。 「ご友人、喜んでくれるといいですね。」 灯火は、プレゼントをラッピングし、莉生に渡しながら話す。 「はい！！ありがとうございました！」 莉生は、満足気に店を後にした。

遠くから聞こえた声に反応する六花 「あ！翠ちゃんかも、、！ 翠ちゃんこっちこっちーー！」 六花は、翠の探してる声に応えるように、大きく手を振りながら翠を呼ぶ。 「あっ、六花さん、やっぱりここに居たんですか！仕事終わったあとにいなくなってたので、探しちゃいました」 翠は、六花を見つけ嬉しくなったのか少し小走りで、六花とレイに近づく。 「六花さんと、翠？さんですかね！ 夜にこの辺りの警備にあたってるレイと申します。先程、警備の休憩をしていたら六花さんにお声かけいただいて、いまお話してたんです。」 六花が翠と呼んでいたのを聞き、2人に自己紹介をするレイ。 「あ、はい！白波 翠と申します。 レイさん！いつも警備お疲れ様です！六花さんがいつも同じ時間に通るレイさんのことを気にかけてたのでもしかしてと思ってきたらビンゴでした！」 レイに続き、話す翠。 すると、六花が思いついたように話し始める。 「あの、レイさん！ 今度、翠ちゃんと夜に星見に行こうって話をしてたんです、、！良かったら、警備終わりに一緒に行きませんか？？」 「いいんですか！？ 実は、星見るの大好きなんですよ。私、運転好きなので車出しましょうか？」 突然の、六花の提案に驚きながらも少し嬉しそうに、レイは答える。 「え、レイさん車出してくれるんですか！やったー！六花さんとてもありがたいですね！！」 翠は、嬉しくて興奮しながら六花に話しかける。 「じゃあ、レイさんの運転で、星見に行くの決定ーー！ 」 六花も翠につられて喜びを隠せない。 「喜んで貰えてよかったです。私そろそろ警備に戻らないとなので、また星見に行く時にお会いしましょう。」 レイは喜ぶ二人を見て嬉しくなったが、仕事に戻らないといけないことに少し残念そうに話を続ける。 「六花さん、コーヒーと余り物で頂いたパンありがとうございますね！ パン後で美味しくいただきます。」 レイは、六花からもらったパンとコーヒーを持ってその場を去った。 「六花さん、あれって余りじゃないですよね！？ 朝、店長にお願いして人気のやつ買ってませんでした？？」 翠は、今朝の六花が店長にお願いしてパンを買っていたのを思い出して六花に聞く。 「あ！！見てたの！？ レイさんには内緒だよ？ 朝一で買ってたなんて言ったら遠慮して貰ってくれなかったと思うし、、！ 」 六花は、バレていたのが少し恥ずかしいと思いながら話した。 「今日、レイさんにお話するつもりで待ってたんですか？もしかして、、」 翠は、少しニヤニヤしながら六花に問いかける。 「もーー！翠ちゃんのばかっ！ レイさんいつも警備一人で大変そうだから少しでも元気になればって思っただけだもん！」 二人は 少し騒ぎながら店に戻った。 レイは六花がパンをくれたのは人気だけど余ったものをくれたと思っている。 そんな3人が、披露するサウンドは君の知らない物語。君とはレイのことかも知れない。。。

🥐‪✕‬⚔️ レイはいつも通り夜の警備のため、街の中を歩いていた。 「ふぅ。今日も異常なし、と。」 街が発展していくのを見るのは嬉しいと思いつつ、これから治安が悪くなってしまうのでは？と危惧しながら警備にあたるレイ。 1人で警備をするには限界があることも感じている。 「いつも、警備お疲れ様です。」 警備の休憩で、外のベンチに腰をかけていたレイに可愛らしい声が聞こえる。 「あ、はい！ 仕事ですから！ お声かけいただきありがとうございます。そう言っていただけると励みになります。」 いつも通り1人で警備を終え、1日が終わると思っていたレイは予期せぬ出来事に驚いたとともに、嬉しさを感じた。 「あの、良かったらこれ、食べませんか？さっき、うちのお店の営業が終わって、パンの余りなんですけど。 あと！お店で出してるアイスコーヒーも、どうですか、、？」 可愛らしい声で、彼女はレイに話を続ける。 「ちょうど喉も乾いていたし、夕飯もどうしようかなんて考えてたので凄く嬉しいです。ありがとうございます！ところでお名前をお伺いしても？」 パンとコーヒーを受け取り、レイは尋ねる。 「あっっ！ご挨拶まだでしたね。 兎諸 六花と申します。いつもこの時間くらいに警備で店の前を通られていたので、つい声をかけてしまいました、、！」 六花は声をかけたことを迷惑になってないか少し不安そうに、自己紹介をし言葉を続けた。 不安を隠しきれていない、六花に少し笑いながらレイは続ける。 「いつも一人で警備をしてて、声をかけてもらうこともなかったので、こうやって声をかけて貰えることが嬉しいし、何より素敵なお土産まで貰っちゃってありがとうございます。」 迷惑になっていないことに安心した六花は、笑顔になり続ける 「わぁ、よかったです！そのパン実は結構人気なんですけど、珍しく余っちゃって、、！美味しいので是非、食べてください。」 笑顔になった六花を見て、レイは感情が顔に出やすい子で、可愛いなぁと感じていた。 ーーー遠くから声が聞こえる。 「六花さん〜？ どこにいますか？」

莉生と別れたあと、沙耶は莉生と買い物をした先程の店に戻ってきた。 「莉生が見てたのは、この服かな？」 何故か沙耶は、莉生が二択で迷っていた服をまた見ている。 「莉生が買ったのは白のロングスカートだったから、私は黒のスカートを買おう。」 一人言を呟きながらレジに向かい、スカートを購入し、帰路に着いた。 ーーー後日 「沙耶ちゃん、今日もお疲れ様！ 今日の準備はここまでにして帰ろっか！」 いつもの様に開店準備をしている2人。 本日の業務を終え、帰り支度を始める莉生。 「莉生、お疲れ様。莉生今日が何の日か知ってる？」 「今日、、？うーん、あ！私の誕生日、、？」 莉生は自分の誕生日であることを、思い出した。 「そう。ほら、ケーキ買ってあるの。いつも並んでるあそこのカフェの。莉生いつも行きたいって言ってたでしょ？」 沙耶はスタッフルームに置いてある冷蔵庫から、ケーキを持ってきて、莉生にケーキを渡す。 「わぁぁぁ！あそこいつも並んでるから諦めてたのに！！ありがとう！」 沙耶からケーキを受け取り、嬉しそうに笑顔になる莉生。 それを見た、沙耶は微笑みながら 「莉生、それだけじゃないわよ？ はい、これ！」 ラッピングされた袋を受け取る莉生。 「え！！これ、この前のお店の、、？」 驚いている莉生に、沙耶は微笑みながら 「そう。ちょっと開けてみて？」 莉生はラッピングを開け、中を見る。 「これ、、この前一緒にお買い物した時、迷ってたやつだ！！ すごく嬉しい！ありがとう！」 そう。沙耶は莉生が二択で迷っていて買わなかった方のスカートを莉生のプレゼントとして買いに戻っていたのだ。 喜ぶ莉生にほっとしたように沙耶は 「喜んでもらえて良かった。改めて、誕生日おめでとう。莉生。 これからもよろしくね？」 2人は沙耶が買ってきたケーキを食べながら、残りの時間を過ごした。

特別にこちらで公開します✨ 後日、公式から公開しますが、先行公開です！