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アネモネ❁⃘*.

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也用 (入って来ないで)
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  • 夢子︎︎☁︎︎*.@低浮上's user icon
    ── 蝶屋敷に行く途中 , とある店に寄り " どら焼 " と云う和菓子を炭治郎の見舞い品として買った 。僕は食べた事が無いのだが 甘露寺さんに曰く 円盤状のカステラ風生地に甘い餡を之でもかとたっぷり入れて挟んでおり其れは其れは美味しいんだとか 。炭治郎 ·· 喜んでくれるかな . 何て どら焼の入った 包を見て 呟く 。偶に道を間違えそうに成るも 自分の鎹鴉に助けられ乍 目的地に向かって歩いて居ると 遠目から 漸く蝶屋敷が見えてきて , やっと着いた ·· ゆっくりと門の中へと入れば 玄関に続く小道を無心で歩いて , ふと横目で周りを見ると両脇に 紫陽花やら様々な花が植えられていて 綺麗にしてるなぁ 、と安易に思う 。そんな綺麗な小道を通り抜け玄関先に着くと 二.三回 叩いた後 戸を開け , 数秒待ってみるが反応は無し 。 ··· 忙しいのかな 。其れ共留守とか ? 蝶屋敷の人に 炭治郎の所迄案内して貰おうかと思ったんだけど ··· まぁいっか 。 適当に部屋を回れば見つかるだろう . 根拠無しにそう考え 屋敷に上がろうと草履を脱ごうとした瞬間 同時に ガラッ _ と勢い良く 戸を引く音が耳に響いた 。見て見ると 1人の鬼殺隊士の様だ 。彼も目の前に居た僕に気付いたのか 「 うわッ !? 柱 ··· !? 」と声を上げた 後 ハッ と口元を抑えた 。そんなに吃驚する事だろうか , と言うか今うわって言ったよね 。無言だったからだろうか 僕が怒っていると勘違いしたのか彼は「 すいません !! 」と謝って来た 。別に と 云うと ホッとした表情になり 。話を聞くと 彼は村田と云う名前で 僕と同じで炭治郎の見舞いに来たらしい 。丁度良かったと思い 僕も一緒に連れてって と云うとえ!?と何故か吃驚していたが 駄目なの ? と聞くと そッ そんな事ないです !? 行きましょう と慌てた様子で彼は答えた 。そして2人で炭治郎の居る病室に向かって居る最中 廊下で「 柱ってやっぱ怖ぇ ···· 」等と小声で呟いて居たが気にしない事にしよう 。
  • 夢子︎︎☁︎︎*.@低浮上's user icon
    お庭の掃除を終え,箒で掃いた落ち葉を集めると木の麓に置いておいて。次は…炭治郎さん達の所へ行って着替えや朝餉を持って行かないと。 なんて思いつつ,落ち葉の土で汚れた手を水で洗いエプロンの裾で拭い冷えた指先を暖めながら頭の中で段取りの確認をし。 先程のように再び物干し竿の所へ小走りで移動すると,必要最低限な洗濯物だけを取り出して。 草履を脱ぎ少しひんやりとした屋外からやっとの思いで再び屋敷に戻ると,しん とした静けさの中に遠くからキヨちゃん達の笑い声や,アオイさんと善逸さんの言い合って居るような声が聞こえ,何だか可笑しくてクスッと微笑み。そんな小鳥のような笑い声や話し声を背に炭治郎さんの衣類を畳む為に今は物置き場と化している,離れにある和室に行って。畳の上で綺麗に皺を伸ばしつつ畳んでいき,己の拘りなのか癖なのか全て綺麗に四角形に整えると,満足したように暫くじっと見つめ,和室を出る。 折りたたんだ衣類を胸の高さで持ちつつ,ギシッと少しだけ軋んでいる冷たい木目の廊下をまた急ぎ足で歩きアオイさん達のいるであろう部屋に向かって。 部屋の前に着くと,彼等の賑やかな声が聞こえ,怪我をしているのに 何故こんなに騒げるんだろう…?なんて簡素な疑問が頭を過ぎるも,今は関係無い事なので取り敢えず「失礼します,」と一言声を掛けて部屋に入り。
  • 夢子︎︎☁︎︎*.@低浮上's user icon
    無一郎さん…いいや,こんな呼び方をしたと分かれば,私は誰かに無礼極まりない呼び方だと咎められてしまうでしょう。彼は鬼殺隊の最高位だと云う「柱」なのですから。 何故霞柱様のお名前が今脳裏を過ったのかといいますと,彼は柱になられる前に1度蝶屋敷にいらした事があるからなのです。蝶屋敷を端的に云えば,先の戦いで負傷した隊士の治療や機能回復訓練を行う場所で,因みに屋敷の主は蟲柱ことしのぶ様で御座います。そして私は蝶屋敷で霞柱様へ機能回復訓練の指揮をとっていたので,必要最低限の言葉は交わしていました。 様々な隊士の機能回復訓練の指揮をとっていたのに,彼の事を色濃く覚えているのは,ただ単に彼が柱になられたから と云う理由だけでは無いのです。 つい数日前,私やアオイさん,きよちゃん達と取り込んだ洗濯物を分け,しのぶ様の分をお部屋にお持ちした際に彼女の心地よい声が聞こえて来ましたので何事かと思い耳をそばだてて盗み聞いておりました。 そうすると,彼女は,同じくお部屋に居られるであろうカナヲ様に向かい「無一郎くんが上弦の伍を打ち落としたんですって。」等と言われるではありませんか。私は何時になく驚嘆して洗濯物を入れていた籠をつい落としてしまい,その物音でお2人に気付かれてしまいました。後の話になりますが,彼女達は私の事をお思いになったのか,この事を知らせようか迷っていらしたのだとか。 その彼女達の思いも虚しくすぐ私に伝わってしまったのですが,私は嬉しく思って居るのです。私の姉を惨殺した憎く許し難い鬼が,霞柱様の手によって討伐されたのですから。 なのに,私の心は晴れませんでした。やはり姉様が居ないと心から嬉しい,楽しい,なんて良い感情が出てこないのです。どんな綺麗な花を見ようと,カナヲ様とアオイさんと愉しいお話をしようと,私には今で尚重くのしかかり,中々消える事の無い負の感情が私の腕を掴んで離してはくれないのでした。 そして今日も,私は蝶屋敷の敷地にあるお庭を箒ではわきつつ「綺麗…」なんて意図せず口から呟いた言葉を気にする事も無く,可憐に咲いているアネモネの花をじっと見つめておりました。